5998 CSPP  since  May 2013

まだ工事中!(^^;

出力段CSPP(クロスシャントプッシュプル)アンプの第5作目です。

New ! (2013/06/14)  (2013/06/06)


コンセプト

マッキントッシュタイプCSPPでシンプルかつ無帰還で適当なダンピングファクターを実現する回路(もちろん直結で(^^;)を目指しました が、さてどうなることやら?

先ずはシンプルを基本にすると6C19P CSPPと同様やはり2段増幅のCSPPとなりますが、今度は半導体ドライブでは無く初段兼ドライバーに3極管を起用しま す。

これまではCSPPの特徴的な出力段50%のKNFがドライブ電圧にとって大きなアゲインストとなる2段増幅の初段にはドライブ電圧とゲインを稼ぐ為に5極管または半導体によるカスケード回路を採用していましたが、5極管やカスケード回路では出力インピーダンスが大きい”電流ドライブ”となる為にブートストラップを併用すると出力段からのKNF効果は失われてしまいます。

その状態からオーバーオール帰還をかけてしまうのはせっかくのCSPPの特徴を一部殺してしまうので、これまで”電流ドライブ”と”ブートストラップ”を併用すると アンプとしての特性は良くても音質的にあまり良い結果を招きませんでした。拙作にて100%ブートストラップに頼りKNFを打ち消したケースでは殆どその音質に不満を残しています。

そういった経験から今回はアプローチを180度変え、最初から3極管による”電圧ドライブ”にしてドライブインピーダンスを下げ、ドライブ電圧不足をブートストラップで補う方法をとる事にしました。 そ の為にはドライブ電圧が少なくて済むようにOPTのインピーダンスを低くとる方が有利です。

今回起用した 5998 はGTベースでSTスタイルのいわゆるG管ですが、 内部に低rpの3極管を2つ封入した双3極管で電圧制御用途に開発されたレギュレーター管です。管の高さを抑えGTルックにしたの5998Aもスペックは同等です。

6AS7G6080等と比べると μ = 5.5 と大きいのが特徴でレギュレーター用3極管としては割とドライブしやすい球として知られており、同等管としてWE421Aがありますがこちらは金田SEPP-OTL 等にも採用されています。

低rpながらもμが大きく、プレート損失も15Wあり、2A3に近い使い方が可能とされてPPやシングルでの作例は結構ありますが、CSPPへの応用はおそらくお初です。

但し、残念なことにレギュレーター管にもかかわらずH-K間耐圧が±100V と極普通でしか無いので 、この球にはなるべく高電圧をかけずに負荷インピーダンスを低めにした動作で使うのが賢明です。


回路について

本機では初段に双3極管 5751 の差動増幅とし、その負荷を同じく 5751 に依るSRPP風の真空管抵抗として、ブートストラップによりドライブ電圧を稼いでいます。但し、所詮は3極管ですから例えμ=70の 5751 だとしても初段のゲインはその半分程度が精一杯なのでこの際ゲインは欲張らず、もちろん余裕はないので先ずはオーバーオールNFB無しでそこそこの性能を得るつもりで挑みます。

基本2段の直結PPとなりますが、いわゆるシングルアンプで良くあるロフチンホワイト回路を2つ重ねてPP化したと思えばどうって事の無い回路です。シングルの場合それほど直流安定度を気にする必要はありませんが、PPの場合はトランスの直流磁化を避ける為にアンバランス電流を許容範囲以内に保つ必要があ るし、なおかつ出力管の動作点も動かない方が良いのは当然です。

初段が半導体ならサーボ無しでも充分実用になりますが、初段真空管で直結PPを実用とする為にはそれなりの工夫が必要です。本機では以下の様な対策を施しています。

以上のような対策にてサーボ無しでも実用に耐える直結アンプとなっています。
(但し、試運転から48時間程度は新品真空管の初期ドリフトがあるので常に電流を監視しながら適宜調整する必要があります)

59982A3に近い使い方をする例があると書きましたが、rpが2A3の800Ωに対して5998は350Ωと半分以下ですので最適負荷はもっと低いところにあると思われます。通常2A3はシングルで2.5KΩ、DEPPで5KΩを負荷に設定することが多いですが、5998のVp-Ip特性から最適負荷は2KΩ近辺のようです。

CSPPではなるべく負荷線を 立てた方がよりドライブ電圧が低くなり、ドライブしやすくなるのですが、無帰還での実用DFを確保する為に先ずは2A3と同様に2.5KΩにしました。


回路図 Rev.1


電源回路

電源トランスは TANGO ST-220 で、280Vタップから正側を整流管5U4GBでチョークインプットとし、250Vタップから負側の電圧を得、その負側を200Vに定電圧化して基準電位とした嵩上げ方式です。

5751のヒーターは 二つのユニットが直列になる12.6Vで点火し、回路上下でヒーター電流を揃えることによりPPバランスを崩れにくくしています。
負荷側 5751-25998と同じ巻線からとってヒーターバイアス200Vをかけています。

初段定電流用の負電源は初段兼ドライバー 5751-1のヒーターと共通の巻線からとっています。


諸特性 (暫定)

 最大出力(ノンクリップ)  10W
 オープン・ゲイン  10.3dB
 高域カットオフ  65KHz
 ダンピングファクター  4.8
 残留ノイズ  0.8mV

ダンピングファクターを優先したのと5998のプレート電圧も抑えているのでパワーは控えめです。

初段が真空管の直結アンプでありながら動作中のドリフトはOPTの許容範囲であるアンバランス電流8mA以下を余裕で下回る2mA程度で期待どおりです。
 


音質傾向

シンプル・無帰還ならではの鮮度の高い音に聞こえます。


雑感

最初は初段兼ドライバーを12AX7でスタートしたのですが、運悪く片方のドリフトが大きかったのと手持ちが2本しかなかったのでやむなく12AX7を諦め5751に統一、かろうじて14dBあったゲインが10.3dBにダウンしてしまいさすがにゲイン不足です。

3極管による直結2段CSPPでブートストラップ有りのオーバーオール無帰還という構成を試してみましたが、今のままではゲイン不足どころかドライブ電圧も足りず 5998 の持てる力を発揮出来ていないので、次に1段増やしてゲインを稼ぎ、負荷を立てるつもりです。

と、なるとやっぱり負帰還が必要...?


 Rev. 2 June 2013

変更

さてゲイン不足の Rev.1 のゲインをどう増やすかいろんな手が考えられますが、簡単なところからあげてみると...

1,初段カソードにTR/FET又は3極管をカスケード接続

2,初段を5極管に変更

3,増幅段を1段増やす

等がありますが、5極管やカスケードとしてしまうと今回のテーマである3極管でドライブしてブートストラップをかけながらもKNFを打ち消さない方針を崩してしまうのでやはりもう一段増幅段を追加することにしました。

そのままだとゲイン不足から一転ゲイン過剰になってしまうのでドライバーを 5751(μ70)から 12AY7 の高信頼管 6072A (μ44)に変更し、16Ω端子を使って出力段の負荷インピーダンスを半分の625Ωとして使い、出力管の負荷線を1.25KΩ相当で動作させ、ループNFBをかけてダンピングファクターを確保すべくトライ。


回路図 Rev.2

回路図を見れば判るとおり、どこかで見た覚えのある回路を初段に配置。
増幅段を増やすとなればDCバランスサーボを使わない以上はもう半導体しか選択肢はありません。

いつもならV-FETの 2SK79 を使うところですが、今回は電源変動の影響を少なくする為にも低gmのJ-FET 2SK30A を起用しました。
2SK30A
は半導体的なクセの無い音質が真空管回路にも違和感なく使える J-FET としてとても重宝します。

 


電源回路 Rev.2

初段の+17V電源を作る為に整流管のヒーターに使っていた巻線を倍電圧整流で利用、そのためメインのB電源は整流管をやめてダイオード整流に変更しています。

又、初段のドレイン電圧が直結で加算される為に6072Aのプレート電圧が低下するのでツェナーダイオード(RD51F)を1個追加して嵩上げ電圧を250Vにあげました。


諸特性 Rev.2

   Rev.1  Rev.2  Rev.2a
 増幅段  5751  K30A/6072A  K30A/6072A
 OPT負荷インピーダンス  1.25KΩ  1.25KΩ  625Ω
 最大出力(ノンクリップ)

 -     

 10.0W  13.2W
 最大出力(5%歪み)

 -     

 -     

 -    

 オープン・ゲイン  14.0dB  28.5dB  31.0dB
 クローズド・ゲイン

 -     

 -     

 22.9dB
 ループNFB

 -     

 -     

 8.1dB
 高域カットオフ (No-NFB)  65KHz   95KHz   95KHz 
 高域カットオフ (Over All)

 -     

 -     

 125KHz 
 ダンピングファクター  4.8  5.1  8.5
 残留ノイズ  0.8mV  0.8mV  0.7mV

まだ暫定バラックシャーシーなので配線はぐちゃぐちゃ、残留ノイズはなんとか許容レベルです。

 


雑感

6C19PCSPPでも同様だが16Ω端子に8Ωとして負荷を立てれば出力は増えるがダンピングファクターは半減してしまう。
そこに8dBのNFBをかければダンピングファクターは上げられるが音の鮮度が落ちる。
NFBを5dB程度に減らせば音はマシになるが、今度はダンピングファクターが4.5程度に落ちてしまう。
結局のところ本機では負荷を立てずに無帰還とした方が音質もダンピングファクターも良いのであった。

ゲインは余剰気味だが、今回は特に音の鮮度にこだわることにした。
ダンピングファクターも5.1を確保出来たので初志貫徹→オーバーオール無帰還とした。

小音量でも躍動感が損なわれないのは本機の美点。
OPTにもかなり依存するがNFBをかけたとたんにつまらない音になるのは良く経験することだ。

次はシャーシーの引っ越し、いつになることやら...(^^;
 


 Rev. 3 June 2013

なにが正解?

結局のところ3極管1段でのドライブで足りないのはゲインだけで、1段増やした Rev.2 ではゲインとドライブ電圧が充分に確保出来たので、たかだか出力10W程度の本機ではブートストラップの必然性はありません。

従ってブートストラップをやめ、P-G帰還に変更し上側のアクティブ負荷球も5751からrpの低い6201(12AT7)に変更しました。
P-G帰還にするとドライブ電圧を圧迫して余裕が減りますが、OPT負荷インピーダンスを半分の625Ωにしてしまえばそれも帳消し、かつ実用的なダンピングファクターが得られれば出力的にも有利になるわけです。


回路図 Rev.3

3極管によるP-G帰還はまるで超3極管接続とそっくりですが、ここでは下側ドライバーが3極管である為に電流ドライブではなく電圧ドライブであるが故に100%P-G帰還にならないので超3結の動作ではありませんし、電流ドライブのように直流的不安定にもなりません。

本機の場合は上側3極管rpと下側3極管rpの比率で信号が分圧されP-G帰還電圧として出力管のプレートからグリッドにフィードバックとなります。既に50%がKNFにより帰還されていますので、出力管にはトータルで70〜80%の局部帰還が掛かっていることになります。

本来の超3結回路でこのようなドライブ回路にしてしまうと超3結として動作しないだけでなく、2つの3極管のrpが出力管の負荷になってしまい出力が食われてしまいます。
超3結PPだとすればOPTは5KΩの負荷ですがCSPPである本機はそのまま1/4の1.25KΩになるところに16Ω端子に8Ω負荷として いるので1次インピーダンスはさらに半分の625Ω負荷になる為に例えrp数KΩの3極管に依るドライブだとしてもほぼ無視出来ることになります。

電源回路には一切の変更はありませんが、2段(Rev.1)の時点ではPSDCによりうまく電源変動補正が出来ている様に見えていたのが、スライダックで確認すると3段化と球の変更の影響から補正があまり効かなくなっていました。
そのままではマズイので、2段目定電流回路の基準電圧にLEDを入れました。
最初は3.8Vのツェナーを入れてみたところ効き過ぎた為、その半分の2V位のツェナーを探しているところにたまたまLED(緑)が目に入り採用となりました。

これで補正はバッチリ効くようになりましたが、シミュレーターが使えない私にはカットアンドトライでしか最適値が出せませんでした(T T;)
ま、シミュレーターで上手く算出出来るとは限りませんが...。


諸特性 Rev.3

   Rev.2  Rev.3
 OPT負荷インピーダンス  1.25KΩ  625Ω
 最大出力(ノンクリップ)  10.0W  12.5W
 最大出力(5%歪み)

 -     

 13.8W    

 オープン・ゲイン  28.5dB  30.2dB
 クローズド・ゲイン

 -     

 27.0dB
 ループNFB

 -     

 3.2dB
 高域カットオフ (No-NFB)  95KHz   95KHz 
 高域カットオフ (Over All)

 -     

 135KHz 
 ダンピングファクター  5.1  5.5
 残留ノイズ  0.8mV  0.7mV

P-G帰還と3.2dBのNFBによりダンピングファクターはほんの僅か改善する程度ですが、高域カットオフはだいぶ上の方だし、この辺が妥協点のようです。

まだゲインは多めですが、これ以上帰還量を増やしたくないのでダンピングファクターはこれで必要充分です。
 

後日、本番シャーシーに組んだ後で再測定の予定です。(いつの事やら?)


雑感

もともとマルチの中域用として考えていたアンプであるが、3段化によるメリット(ゲイン)に対し直結故にデメリット(直流安定度の劣化)は少々気になるところだった のだが、かろうじて実用になるレベルにあるようです。

自分用なので常に自分が気にかけてさえいれば良いのですが、他人様に勧められる代物ではないので何人も追試はしない方が身の為です。
自分で使う限りは実用になるが、サーボ無し直結回路は2段増幅でやめておいた方が精神衛生上も良いに違いない。

やっぱり電流監視メーターでも装備すべきか...。

そしてマルチの中域に使ってみたが、やっぱり狙いどおりの音質で大満足。
これで漸く300BCSPP後継として役目を果たすべく準備が出来たかも。(未完故に)


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Last update 14-Jun-2013