MB3045/A3000 Refined Type-B

マッキントッシュタイプCSPPは ビーム管や5極管の本来の力を引き出す回路方式です。

MB3045/A3000の本来の力を引き出す為に大幅な回路変更に踏み切ります。
先ず、初段と2段目をカスコードにすることにより増幅段数と結合時定数を減らし、オリジナル回路の過剰なゲインを抑え 、3段目とカソフォロ段はブートストラップを見直し電源電圧を抑えて過電圧を是正して信頼性のアップと最適動作を実現しました。


A3000 Type-B その2 Aug. 2026

 

 

■ 今回のペア

修理というよりもBIAS調整とターミナル等を含めた改造依頼。

オーナーは3結がお好みのようでしたが、お奨めの回路でとの事でしたのでType-Bで纏めました。
出力管はTung-Sol の6550です。
3結やUL接続のままではスクリーン損失が大きくなりますが、スクリーン電圧を下げる為にもビーム管ネイティブ動作をお奨めしています。


■ カスコード2段差動ドライブ Type-B

その1と同様Type-Bでは初段と2段目をカスコード接続にして1段の増幅に統合し、3段目へのブートストラップを外して2段差動 増幅としました。
その為に使用する球V1とV2には従来の12AX7/ECC83と12AU7/ECC82ではカスコード接続に適さないので使えません。
前回のその1では5965Aを起用しましたが今回は入手しやすい12AT7/ECC81を起用しました。
差動の2段目のV3は6CG7を起用しています。

初段カスコードの配線が上下でクロスしていますが、増幅段が1段減ったことで位相が反転してしまう為にここでクロスさせています。

カソフォロ段と出力段はType-Aと同様で、出力管スクリーンとカソフォロのプレートにFC - FD巻線を使って供給します。
カソフォロ段の球はヒーターの接続を変更して12BH7Aを使います。代替としてE80CCも使用可能です。

その1と同じように出力管のヒーターはアースに落とすのでは無くそれぞれの出力管のカソードに接続してあたかも直熱管の様に扱うことでH-K間耐圧の低いEL34等の 出力管でも問題無く使える様に変更し、回路図にはpin番号を書き込んでいます。


■ 特性

 

  Type-B その2

 出力管   Tung-Sol 6550
 最大出力(ノンクリップ)   60 W
 オープンゲイン   36.2 dB
 クローズドゲイン   21.0 dB
 高域カットオフ (-3dB)   170 KHz
 ダンピングファクター (8Ω)   12.5
 残留ノイズ   0.2 mV

■ まとめ

今回の初段カスコードにはECC81/12AT7/6201を使いました。5965よりも3dB 程度オープンゲインが上がりますがNFBを施したトータルでは殆ど変わりありません。

やはりこれこそが真の実力だと思える卓越した表現力と駆動力で多極出力管を大いに楽しめるアンプになりました。
3極管ばかりが名球ではありませんぞ!


A3000 Type-B その1 Dec. 2025

 

マッキントッシュタイプCSPPは3極管よりも ビーム管や5極管でこそ本来の実力を発揮する回路なので今回はgmの大きな 6GB8 と共に最適なドライブを探ってみます。

■ 大幅な回路変更へ

以前のType-Aでは2段目にクロスシャントP-K分割位相反転を採用しましたが、ゲイン1のバッファーであり平衡度は矯正するけどそれほど大きなメリットでも無かったので今度は別の案を試します。

改造するにあたって電圧増幅段の4本のMT管の回路はプリント基板になっているので、大幅な回路変更は簡単ではありません。
Type-Aではなるべく簡易な改変で済ませるべく基本的に使用真空管を変更しない方針だったのですが、やはりそのままでは出来る事が限られてしまいます。
今回は使用球も回路も大幅に変更しますが、増幅段数を1段減らしゲインを少し抑え、シンプル化した回路で纏めます。

LUXオリジナルの回路(KT-88仕様)を示します。


■ カスコード2段差動ドライブ Type-B (July-25)

大型三極管8045Gをドライブする為に編み出されたLUXオリジナルは差動2段の後ろにもう1段増幅段が有り、独自のブートストラップにてカソードフォロワ-を介して出力管をドライブしていましたが、全部で合計4段の増幅は3極出力管 のドライブには必要不可欠な手段でも5極管やビーム管のドライブの為には必然性を見いだせません。

前回のType-Aでは2段目のゲインを0dBにしましたが、今回のType-Bでは初段と2段目をカスコード接続にして1段の増幅に統合し、3段目へのブートストラップを外して2段差動としました。
その為に使用する球はカスコード接続に適した6DJ8とか6AQ8が候補に挙がりましたが、ヒーター電圧を変えたくないので12.6Vの双三極管から選ぶことにして、候補に挙がったのは12AT7, 5965, 6414等のμが40〜60付近の双三極管で 、今回はたまたま手持ちにあった5965を起用しました。
差動の2段目はオリジナルの6240Gでも構いませんが既にスペアが確保出来ないので6FQ7を起用しています。



初段カスコードの配線が上下でクロスしていますが、増幅段が1段減ったことで位相が反転してしまう為にここでクロスさせています。

カソフォロ段と出力段はType-Aを踏襲し、出力管スクリーンとカソフォロプレートにFC - FD巻線を使って供給します。
カソフォロ段の球はこちらも6240Gを確保出来ないのでヒーターの接続を変更して12BH7Aを起用しました。

電源にはType-Aと同様に出力段スクリーンとドライバー段への電源供給のために2段目の供給電圧に準ずる電源を高耐圧MOS-FETを介して供給しています。
これは300V巻線の電流容量に余裕がないため、こちらから供給すると最大出力付近ではSG電流が増え電圧降下が大きくな り出力に制限がかかるのを避けるための措置です。

バイアスのC電源はスクリーン電圧が下がることにより必要な出力管のバイアスも下がるので抵抗値を調節しています。

初段カスケードである5965のヒーター(12.6V)には約70Vのヒーターバイアスを掛けています。

もう一つ、回路図にはキチンと書き込んでいませんが、出力管のヒーターはアースに落とすのでは無くそれぞれの出力管のカソードに接続してあたかも直熱管の様に扱うことでH-K間耐圧の低い 出力管でも問題無く使える様に変更しています。


■ 特性

無帰還(Open Loop)時のゲインが約33dBとなり、周波数特性とダンピングファクターの向上の為にNFB量は約12dBにしました。

 

Type-B

Type-A

 出力管   6GB8  6550A
 最大出力(ノンクリップ)   66 W   68 W
 オープンゲイン   33.7 dB   29.6 dB
 クローズドゲイン   21.5 dB   22.4 dB
 高域カットオフ (-3dB)   170 KHz   150 KHz
 ダンピングファクター (8Ω)   12.5   7.8
 残留ノイズ   0.15 mV   0.2 mV

テスト的に16Ω端子から8Ω負荷で出力を取るとOPTのインピーダンスは900Ω → 450Ω相当になりますが、6GB8では望外の最大出力84WとDF=10が得られました 。この動作の場合は負荷線が立ち気味ですがそれでも充分に許容範囲での有効な動作です。


■ まとめ

以前のType-Aでも改造前の音質 からはかなり前進していたと思いましたが、初段のオリジナル12AX7ではゲインは得られても三極管故にミラー効果で高域が伸びきらないせいかその中庸な音質は好みが分かれるところです。
Type-Bのカスコード差動2段では高域特性が更に改善していることもありType-Aを凌ぐ特性と音質が得られています。

初段カスコードには5965の他にも12AT7やE180CC、6414等のμが40〜60付近の双三極管が使えます。
但し、カスコード故に球のバラツキには注意が必要で、バランスが極端にズレる場合は球の選別が必要になります。

6GB8 だけでなく、6550A や他のビーム出力管も差し替えて楽しむことはもちろんなのですが、電源トランスの出力管用ヒーター巻線は元々アースに接続されていても1本ずつそれぞれが独立しているのに着目、ヒーターとカソードを接続して直熱管のように扱うことでヒーター・カソード間耐圧の低いEL34でも全く問題無く使えるように なっています。 但し、EL34の場合の最大出力は50W程度になります。

多極出力管の真の実力を引き出し、大いに楽しめるアンプになりました。3極管ばかりが名球ではありませんぞ!


■ 雑感

今回の改造は前回より更に踏み込んでパターン改造を含む大幅な設計変更になりました。

前回のType-Aは2段目をバッファー(増幅率1倍)とすることによりゲインを下げましたが、アンプ回路としてはそれほど意義のあるものではなかったので今回のカスコード化では1段目と2段目を統合し て3段あった増幅段を2段差動に纏めたので以前のType-Aよりもシンプルで意味のある構成にすることが出来ました。

このペアは既に京都方面へと嫁いで行きましたが、新しいご主人様にも気に入って戴けたようです。


 Back to Home 


Last update 4-Sep-2026