USB Audio Adapter の製作 Since March 2006. |
USB Audio
Adapter
とはPC(パソコン)のUSBインターフェースに繋いでPC環境下のマルチメディア再生よりデジタル音声出力を取り出すものです。
DVDやMP3再生はもとより、WAVEファイル再生ではCDに劣らないクオリティの再生が楽しめます。
趣味でDAC基盤等を頒布されている ElectrArt さんがキットとして頒布していたものを購入しました。
これは元々『TDA1541A with USB(PCM2706)』としてUSBに繋げるノン・オーバーサンプリングのDACキットだったその一部のUSBインターフェース基盤を単独で再頒布されていたものですが、今現在は終了しています。(残念(^^;)
■ DAC Chip PCM2706
使用されているデバイスはPCM2706です。
これはPCMと言う名前からも一応DACですが、USB接続のサウンドインターフェースとしても機能するChipです。
本来のアプリケーションはUSBヘッドフォンやUSBスピーカー等らしいです。ElectrArtさん設計のUSBインターフェース基盤はTDA1541Aのノン・オーバーサンプリングDACに直接繋ぐ為のものですので、いわゆる”I2S”フォーマットを出力するようになっていますが、抵抗の取り付け箇所を変更することで通常のオーディオインターフェースとしてデジタル出力”S/PDIF”を出せるように工夫されています。
※PCM2706USB基盤回路及び回路図はElectrArt氏に著作権があります。具体的にはRV7を取り付けずにRV6を実装(FSELをHighに)することによりPCM2706のDATAアウトプットモードを”S/PDIF”にします。
従ってコネクタJV2の1(WS),と2(BCLK),は使用せず、3(DATA),4(GND),からデジタル出力信号を得ます。通常デジタル機器の出力(S/PDIF)は約500mVP-Pでパルストランス等で電気的にアイソレートして出力するようになっています。
そのままこの基板のDATA(S/PDIF)出力をDACに繋いでしまうと、PC(パソコン)とアースが繋がり、グランドループが出来て多量のデジタルノイズを垂れ流す恐れがあります。ものは試しとDATA(S/PDIF)出力にパルストランスを繋いでみると200mVP-P程度の出力しか取れません。(これでも音は出ましたが...)PCM2706の出力はLVTTLですが、いかんせんパルストランスをドライブするパワーはありませんので、インバーター等のバッファーが必要です。
ネット上の他の方の作例を見ると別基盤、別電源でインバーターICにてパルストランスを駆動しているものもありますが、結構な実装スペース(別基盤)が必要なのと別電源の用意や配線の数を考えるとお手軽とは言えません。
今回は右の回路図の様にコンプリメンタリのトランジスタ2個にてバッファーを加えました。デジタル回路ではトーテムポール出力ですが、アナログ的に見ればエミッタフォロワーのB級SEPPです。
LVTTLは3.3V動作ですので、出力の動作中心電圧レベルはVDD/2の約1.6Vです。
(PCM2706は内部にレギュレーターを持ち、USBバスパワーの5Vから3.3Vを得ている)
3.3V単電源動作のB級SEPP回路を付加しただけなのですが、都合の良いことにバイアス回路が不要。すなわち、何もせず直結すれば良いだけなのです。動作もON/OFFだけのスイッチングで両TRが同時にONすることが無いので両TRのベースは直結で問題ありませんが、入力がないときのロジック出力は1かゼロのどちらかですので、流石にTRの出力側をトランスと直結で繋ぐことは出来ません。部品はNPNトランジスタ 2SC1815、PNPトランジスタ 2SA1015、コンデンサ、パルストランス、ターミネート抵抗の各1点計5点の部品を使い、電源をPCM2706のVDDから貰ってしまえば小改造で本体基盤に追加実装出来ますので、実にシンプルです。(自己満足(^^;)
これにて約2VP-Pのデジタル出力が得られるので、いわゆるDSIXの様な効果もありそうですが、シュミットトリガーではないのでそれほど期待は出来ません(^^;)
※DACの入力で観測した波形(75Ωで受けるので半分の1VP-Pになります。)パルストランスは#77のコアに9t:9tで巻いたもの(写真左)を作りましたが、#43のコアに11t:18tで巻いたもの(写真右)でもほぼ似たような特性のものが出来ました。
実装は下の写真のように基盤の端にTR用に4ヶ、コンデンサ用に2ヶ、計6ヶの穴をあけて取り付け。
TRは足が3本なのに2本で4つの穴しか用意しなかったのは回路図を見るとお判りのように上下のNPNとPNPトランジスタのベースとエミッタ同士を接続するので穴数は4つで賄えるわけです。(BとEは一つの穴に2本のリードを差し込む)
(部品を追加で載せたせいでシルク印刷の一部を隠してしまいました。ElectrArtさんゴメンナサイm(_ _)m)この基盤に於いてSMT(表面実装)のチップ部品はPCM2706だけですが、老眼になりつつある目にはちょっと辛い作業ですね。
ケースはタカチのプラスチックケースSW-75Bを利用しました。
後から知りましたが、無電解メッキ処理によりシールドケースになっているESW-75Bというのがあるので、どうせならそちらを利用した方が良いです。最後にこんな素晴らしいキットを安価にて頒布して戴き、回路図の転載も快諾戴いたElectrArtさんに感謝します。
ElectrArtさんのホームページはこちらです。
Last update 02-July-2006