Softon RX-40-5 の改造 since 2005 Jan |
※ 注意 ※
改造という行為によりメーカーの保証や製造責任が失われます。意味のわからない方は改造などに手を出してはいけません。
改造にはリスクが伴います。全てのリスクを理解した上で行動して下さい。
高電圧を扱う真空管アンプですので、くれぐれも絶縁には注意を払って下さい。
万が一、失敗したとしても誰のせいでもありません、改造した本人に全ての責任があります。
(決して
Softon
や私にクレームなど出さないように(^^;)
■ 目的
本稿では市販OPTを改造してマッキントッシュタイプのクロスシャントプッシュプル(以下CSPP)に使えるようにするのが目的です。
市販されている殆どの出力トランスは SG タップが巻数比で43%付近に設定されているので、これらはCSPPに応用出来ません。
Softon RX-40-5 は普通のDEPP用に設計されたOPTであり、特にCSPPへの配慮がされたものではありませんが、SGタップが50%の巻数比で出ていると言う願ってもない特徴を持っています。
しかも、ケース内部はピッチ等が充填されていないので巻線にアクセスすることが容易な構造で、ちょっと内部接続を変更することでCSPPに応用出来る数少ないOPTのひとつです。同社のOPTはRコアを採用している為か2つのボビンには左右がバランスするように精密に捲かれています。
そして同社の他のOPTも同様に改造すればマッキントッシュタイプCSPPに応用することが可能です。
■ CSPP用OPT
マッキントッシュタイプのCSPPに必要な1次巻線の条件は?
- 1次巻線がそれぞれ独立した2巻線(スプリット)であること。
- それぞれの巻線の中点(50%)にタップがあること。
- 1次巻線のインピーダンスは直列で2RL、並列でRL/2相当であること。
- 理想的には1次巻線をバイファイラ捲きとし、2つの巻線同士は磁気的にも容量的にも結合が密な方が望ましい。
かつてのLUXの名機 MQ80 (6336A CSPP) に使われている OY-15-600P はバイファイラ捲き。
同社のモノラルパワーアンプ MB3045 に採用された GX100-3.6 はなんとクオドラファイラ捲きという1次巻線が4つもあるもので、ブートストラップとNFにも利用されていた。
出力管 8045G があまりにも短命でトラブルが多く、正当な評価を受けていなかったのではと思われる。
当時のカタログには両機ともに【クロスシャントP.P.回路】を採用とある。かつて自分自身はこの回路をただのカソードNFと解釈していて何をやっているのか全く理解出来ていなかったが、上條氏の解説のおかげでその本質が漸く理解出来た。
このマッキントッシュを祖とするタイプのCSPPの優位性は回路図を見ただけでは理解出来ない、是非上條氏の解説をご覧戴きたい。
■ 改造前
黒いフィルムをカットして開くとオリジナルの接続状態が見てとれる。
元々1次巻線は4巻線構成になっていて、2次巻線は左右のボビンからそれぞれ3巻線の計6巻線出て、全てパラ接続されている。
■ 改造後
1次側引き出し線の結線を全て外し、10Pの平ラグ板に4つの1次巻線(8本)を配線。
自由に組み合わせられるように1次巻線は全てスプリットとした。左右のボビンからそれぞれ2巻線づつ出ているが、直流抵抗の小さい方(30.1Ω)が内側のレイヤーで大きい方(33.6Ω)が外側になる。
さらにその外側に2次巻線が巻かれているので巻線間容量を考慮すると内側のレイヤーをプレート側に、外側のレイヤーをカソード側とした。10P端子のうち、2つの端子が余っているが、此処に2次巻線を接続して、全て端子出しとしても良いでしょう。
■ 実装の様子
配線するにはシャーシーの上(トランス内部)と下で接続しなければならないが、端子にしておけば自由度は高い。
角形ケース入りなのもこういった改造には非常に有難い。
> NEWS !!
本当にCSPP専用のバイファイラ捲きトランスが市販されました。これで改造なんかしなくてもOKです。しかも安い!!
2009年秋、ついにマッキントッシュタイプCSPP専用OPT 【ASTR-12】 が染谷電子より発売。
2010年秋、マッキントッシュタイプCSPP専用OPT 【ASTR-20・ASTR-20S】 が追加されました。 → こちらを参照。
Last update 18-Sep-2011