ブリッジ接続インターステージドライブ 2A3 並列SEPP 1989 - 1994

 

このアンプは90年11月に開催されたMJ無線と実験主催第3回自作アンプコンテストに参加しました。(記事はMJ1991年5月号に発表)
結果は管球アンプ部門7位と自慢できるものではありませんが、恥をさらし人様の批評を得た事で次の方向性が見えたコンテストでした。
(このページの写真はこの当時のものです。)

後年、柳沢正史氏が何例かイントラドライブによるSEPPアンプを発表されましたが、MJ99年11、12月号の300B並列給電型SEPP(タンゴトランス)では拙作2A3SEPPも参考の一つにされたそうで、文面の所々に私と同じ感覚を持たれた事が表現されており嬉しくなりました。(柳沢氏のアンプは完成度の高い素晴らしい作品です)
さらに01年6月号では3月号で発表の300B並列給電型SEPP(タムラトランス)をベースに通常型DEPPとSEPPの諸特性測定の比較まで発表されています。
イントラドライブのSEPPはトランスの結線を変更する事により、簡単に通常型のDEPP回路 に変更する事が出来ます。(その逆は無理です)
本機2A3SEPP製作記事を発表の後に、MJ編集部よりSEPPとDEPPの比較測定記事を出せとの依頼が来ましたが、当時は仕事が多忙だったのと測定の煩雑さにやる気が起きず、結局その依頼に答える事が出来ませんでした。
記事を待たれていた一部の方には申し訳なく、長年心に引っかかるものがありましたが、柳沢氏のおかげで漸く肩の荷が下りました。
改めて柳沢正史氏に敬意を表します。

以下は20年以上前の拙文です。



原文(MJ編集部による変更無し)

 B・T・I ドライブ
2A3 SEPP(並列型)アンプ


トランスの功罪

 最近MJ誌においても管球式OTLやトランス付きSEPP(以後単にSEPPと記す)の記事を見かけるようになりました。
 この世にOTLやSEPPが現れた訳は当時の技術水準での出力トランスの性能限界を超える為の手段だったといえましょう。
 しかし、その後出力トランスは広帯域、低損失で音質の優れたものができるようになり、回路の簡便さからも通常形プッシュプルが主流になっていました。
 しかしながら使用するトランスにによって音質は大きく左右されアンプの音を聞いているのかトランスの音を聞いているのか判らなくなる危惧があります。

 出力トランスには、
   1.インピーダンス変換。
   2.直流電圧の阻止。
   3.プッシュプル合成。

の役目がありますが、それに加えて広い周波数特性と回転の少ない位相特性をも要求されます。
それならばとトランスを取り去ってしまったのがOTLで、プッシュプル合成をトランスに頼らないのがSEPPです。
OTLはトランスの呪縛から解放されますが新たに回路上の制限が浮上してきます。
 それは位相反転ドライブ段にキャンセル回路が不可欠であること(平衡回路構成が不可能!...インターステージトランスを用いれば可能だがOTLにしてイントラ結合などする人がいるかどうか?)、管種が限られてしまうこと、現在主流の4〜16Ωのスピーカーに対して適正負荷で動作する事が困難で、その為には多量の負帰還をかけなければならない為音質上好ましくない、こと等があげられます。
一方SEPPでは出力管の動作はトランスを介する為に適正負荷での設計が容易で無帰還でも全く問題ありませんが、位相反転に関してはイントラを用いない場合OTLと同じくキャンセル回路が必須で、しかも必然的にドライブ電圧は高くなるので条件的にOTLより不利となってしまいます。
 しかし、イントラを使えばドライブ段はシンプルでかつ平衡性の高いものが簡単に実現できます。
(これはトランスを使用するにあたっての大きなメリットでしょう。)
又、ありとあらゆる管種で製作可能です。
これだけですと通常型PPに対してわざわざSEPPにする必要があるのか? と思うかも知れませんが、同じ出力管、同じOPTを使った場合は明らかにSEPPの方がグレードの高い音がします。
 これは低級なトランス程、差が大きい傾向が有ります。又、通常型PPでは大きかったトランスによる音質の差がSEPPにするとほんの僅かになってしまいます。


SEPPと通常型PPの違い。

通常型PPの問題はトランスでの磁気結合によるプッシュプル合成にあります。
 トランスはシングルの様に単なる変成器(インピーダンス変換)として利用するのがベターです、しかしシングルの場合は直流磁化の為コアにギャップをとらねばならず、低域特性向上の為には必然的にコアボリュームを大きくせざるを得ません。
 並列型SEPPの場合ちょっと見にはトランスでプッシュプル合成しているように見えますが、この場合下側プレートと上側カソード間の結合コンデンサと電源回路を介しての電気的結合ですので誤解の無いように!
 故にSEPPが最もトランスの欠点を抑えた動作が可能であり、OTLより設計・製作が楽ということになります。

 

PPとシングルの音質差?

巷で言われるPPとシングルの音の違いとはトランスの磁気的PP合成の仕業であると思います。
 私の場合2A3シングルをリファレンスにして別に2A3のカソフォロ直結、イントラ、イントラSEPPと実験を重ね、或いはEL34PP6L6SEPP等と色々なアンプを試作・改造、比較試聴を繰り返した結果、SEPPがベストとの結論に達しました。
 シングルとSEPPは同じ傾向の音質ですが、通常型PPの方は”賑やか”とか、”余分な音がする”とかよく言われるように明らかに異質の音であることが判ります。
 シングルではどうしても出ないのが奥行き感です。自ら奥行き感を表現してくれるスピーカーをお使いの方はそういう風には感じられないかも知れませんが、フルレンジ1本を鳴らしても奥行きを感じられるのが本物と思います。(私のスピーカーはリニアフェイズの3ウェイでネットワークは6dB/octで繋いでいます。)
 しかし、シングルでも左右にそれぞれ2チャンネル使い、入力に逆相を入れ出力を互いに逆相でパラ接続する(この場合OPT2次側はアースから浮かす)とSEPPと同じように奥行きをも表現できるようになります。
 シングル、PP、SEPP、とその差を言葉で簡単に表現してしまうと、シングルは素直で出力管の個性が感じられる音、通常型PPは解像力がありそう?な虚像的音質でやや細目の傾向、SEPPではシングルのように素直で本物の解像力を持った太めの音質と言ったところでしょうか。
 3種のアンプを何度も聞き比べていると、通常型PPはどうしても音がダブ付いた2重像の様に聞こえます。


本機の構成

 本機を設計する時点で次の2つを念頭に置きました。

1、全段プッシュプル構成。
2、直熱管によるSEPP。

 全段プッシュプル構成としたのはバランス伝送バランス増幅が理想と言う持論からで、解像力・音場、奥行、定位感に優れます。直熱管を採用したのは宍戸先生と同じ理由によるものです。

 初段は6072Aの差動です。
 定電流回路は便利なCRD(定電流ダイオード)を使えば簡単にその目的を達する事ができますが、CRDは温度変化によるドリフトが多く使用中に初段の動作点が変わってしまい芳しくありません。せめてFET&抵抗にしたいところです。本機では比較的簡単に負電源が作れる事から620112AT7)のパラを採用しました。パラにしたのはシャーシの配置上1本の双三極を左右で共有出来なかった為に2本にしたまでで、せっかくの双三極管を片側しか使わないのがもったいなく思っただけの事です。

 ドライバーはイントラを余裕でドライブ出来るよう6BX7を起用し直結差動2段となっています。
 インターステージ・トランスはなるべく低rpでドライブした方が特性が良くなります。NC−9は1次巻線シリーズで5KΩですので約1/4のrpになる6BX7(1.3KΩ)クラスが最低でも必要になります。(佐久間先生のように出力管を使用するのがベストかも知れません。)
 一番特徴的なのがこのドライバー段で、上下のプレートには一胆抵抗を接ぎそして両プレート間をまたぐようにトランスを繋いでいます。
 もちろんこの目的はトランスでの磁気的PP合成を避ける為で、いわゆるブリッジ型(Bridge Tied Interstage)となります(両プレート抵抗とトランス1次との合成負荷になるためドライブ能力が落ちてしまい6BX7でさえも苦しい)。理想的には抵抗じゃなくもう1本6BX7を追加してSRPP化しB・T・Iにしたいところですが、今回は見送りました。
 もしドライバー段を通常型PPで構成してしまうとせっかく出力段をSEPPにしても通常型PPの音になってしまいます。

 出力段は2A3の並列型SEPPですが2A3はハッキリ言ってあまり良い球と思えません。直熱管のわりにはリニアリティが悪く、シングルで使用すると2次歪が多く、うまく設計しないとかなり個性的な音質になります...。しかし直熱管の透明な音色は傍熱管では得られない魅力であり、リニアリティの悪さはプシュプルにより相殺することができますので2A3の個性はかなり抑えられます。
 幻?の1枚プレートなら文句は無いのですが、まず入手不可能、あっても非常に高価です。
 直熱管によるSEPP固定バイアス構成のためバイアスはおろかフィラメントも独立にする必要があります。そのため電源トランスであるMX−280のヒーター巻線では賄えなくなる為、HT−2A3を1個追加して左右の上側2A3に供給しています。
 バイアスの 電源はMX280の70Vタップから左右の下側2A3に供給しています、こちらはハム・バランサーの中点がアースに落ちていますので共通の電源で良いのですが、上側の2A3はOPTの1次巻線によりアースから浮いていますので左右共アースからアイソレートされた独立電源を用意しなければなりません。既にMX−280には使えるタップがありませんので別のトランスが必要になりますが、2次側70V〜100Vのトランスとなるとなかなか適当なものが見つかりません。
 基本的に真空管の負バイアスに電力はいりませんので小型の100:6.3V/0.18Aのトランス2個を1次:2次逆さにして使っています。なんともせこいやり方ですがこの方が結局安上がりです。
 私はループ負帰還は極力使わない主義なので、ダンピングファクター向上のため出力段にKNF(この場合フィラメントNF)をかけています。
使用するOPTですがこれは何でもいいという訳ではありません、並列型SEPPで、しかもKNFとなれば1次巻線、KNF巻線共にスプリットである必要があります。最初はLUX OY−15−5KHPでスタートしましたがKNFをかける為にタムラのF2021を起用しています。
 本当はタンゴのXE−60を使いたかったのですが、タンゴにはスプリットタイプがCRDシリーズしかない為、特注でもするしかありません。(実は既にXE−60−5の1次、KNF巻線をスプリット化したNo.10818をオーディオ専科から無理矢理?お願いして作っていただいたので、興味のある方はオーディオ専科までお問い合わせ下さい。ただしSGタップはありませんのでULには使用不可です!)
このような構成とする事で信号経路からコンデンサを追放する事ができ、カップリング・コンデンサとカソード・パスコンのたぐいは一切必要なく、コンデンサは出力管上下の結合(この部分では信号の伝送が目的ではない、上下の平衡が完全なら必要なし)と電源部分だけになります。そして平衡回路は信号が電源回路を通過しないために電源回路からの影響を受けにくいと言うメリットも忘れてはなりません。(実際は不平衡入力のため若干影響はある。)
 おかげで回路構成の割にはシンプルで製作も比較的容易です。

 電源部はMX280、追加したHT2A3+バイアス用トランス2個+チョークと、トランスが5個もあり、イントラとOPTを入れると何と9個にものぼってしまいました。
 モノラルにした方がよっぽど楽でしょうが、部品点数が少ないのでシャーシ内部はけっこう余裕がありますし、重量的にも我慢の出来る範囲だと?勝手に思い込んでいます。

 


使用部品

 本機ではいわゆる高級パーツのたぐいは一切使用していません。どこでも入手可の部品を使用しています(2A3はもう高級品?かも知れない)。
 パーツの個性がでにくい(パーツ依存性の低い)回路設計をすることも大事であると思います。(もちろん良いパーツを使用するに越した事はありませんが...。要はお金がないので高いパーツが買えない!)


本機の特性

  アンプのトータルゲインは30.6dB、ダンピングファクターはON・OFF法で2.5です。残留ノイズは半年くらい前迄は0.5〜0.8mVだったのですが最近はどういう訳かハムバランサーを調整しても0.8〜1.5mVにしかなりません(エミッションが落ちた?)。
周波数特性及び歪率についてはループ負帰還無しでトランスを2段も重ねているにもかかわらず、以外に良い結果がでています。
本機の特性はドライバー段が支配的で殆どここの特性で決まってしまいます。(高域が30KHzあたりからガクッと落ちているのはまさにNC−9の特性でNC−14での実験では50KHzぐらいまで伸びていた。)
 低出力時の100Hzと大出力時の高域で1KHzに較べて歪が増えておりますが、これは3次歪がその主成分で、イントラ及びドライブ回路に余裕が無い為と推測されます。 イントラをNC−22に換え、今回は見送ったSRPPブリッジ(もちろん初段とは直結で)でドライブすればかなり改善できると思います。
 クロストーク特性は予想どおりで、全段プッシュプルの回路構成が電源回路の影響を受けにくいという特徴を如実に顕しています。(A級増幅なら完璧!)

 


音質評価

 本機の回路を見て、大抵
の方はその音質をトランスドライブ特有?のソフトなものを想像されるかも知れませんが、それとは全く違って実にストレートな表現をします。
それは前項でも述べましたがトランスを最も害の少ない方法で使用している事、全段プッシュ・プル構成である事がその音質に現れていると思います。
しかし、コンテストでは結局のところJBLエベレスト、ML社プリアンプ、N社CDプレーヤーとの相性テスト?とならざるを得ない為、私の意図とは裏目の結果になってしまいました。
(当日は自分自身でさえ、少々きつい音だと思いました。しかし当初リファレンスの予定だったML社のパワーアンプよりは遥かに大人しいと申し添えておきます。)
まあそれにしても音質評価というものは個人の主観が優先ですので必ずしも全員一致するものではなくても良いものです。また場所と接続する機器が変われば評価も変わるものなので、もしそれでもお前のアンプは音が悪いと言われれば自分の感性が悪いのだとあきらめるしかないと思う今日この頃です。


終わりに

 本誌3月号で同じくコンテストに参加された山口氏の記事(25E5SEPP)を拝見すると、氏の場合はOTLからトランス付きSEPPになったと書かれています、私の場合は通常型PPからシングルを経てSEPPにたどり着いた訳ですが、当日お話をして、いきさつこそ違うけれども共通のコンセプトがあり、まんざら私だけの妄想でないことが判り安心したしだいです。

できればトランスなどは使いたくはありません、特にその方形波応答波形を見ていると何故にお金をかけて、重くしてまで波形を汚くしているのか馬鹿馬鹿しくなってしまいます。それでも、この世に完全無欠なものなど存在しないのだ、と自分に言い聞かせ、欠点を抑え利点をうまく生かせば必ず良い結果がでると信じつつ次なる駄作?に取り組むつもりでおります。

−−− 原文終わり −−−



反省点と差動アンプへの道

10年以上の歳月が経ってはいますが、自己反省すると本機はインターステージによるドライブ段がイマイチで、アンプの特性が殆どここで支配されていた事によります。
と言うのもイントラをドライブする上で、回路を通常型のDEPPにするとせっかくの出力段SEPPの音にDEPPの音が混じってしまう為にドライブ段に抵抗負荷を跨いだブリッジ接続を採用した訳ですが、それ故にドライブ電圧がギリギリで全くと言って余裕が無い状態でした。

余談ですが、MJ誌に載ったときのタイトルである『ブリッジT型』とは私が付けた名称では無く、MJ編集部が勝手に付けたものです。こちらでは原文にもあるように単に『B・T・I ドライブ』としか書かなかったのに何故に『T型』になってしまったのでしょうねぇ?

実験ではNC14の特性の方が良かったのですが1+1:1+1の変圧比のためドライブ電圧が不足して最大出力が減少するし、ドライブ段を強力にするためにSRPPにしたくてもあと2本の6BX7を追加するスペースが無いので、妥協の結果が抵抗負荷とのブリッジ接続だったわけです。
後になって無理をしてもSRPPでブリッジにすべきだったと後悔しました。

この中途半端なドライブ段のせいでドライブ電圧がギリギリのためイントラ2次側は解放で使わざるを得ず、弱冠ながら10KHz付近が盛り上がる特性だったのが明暗を分けるポイントだったかと思います。(補償をしようとするとドライブ電圧不足に陥り最大出力までドライブ出来ませんでした)
音質的には躍動感があり定位感(奥行き感)が抜群で、自分のスピーカーでは満足していたのですが、コンテストで鳴らしたJBLエベレストからの音はちょっと刺激的で「トランジスタアンプみたいな音」とも評されました。

初段とドライブ段は差動2段でしたので今なら迷わずに定電流源を入れて解決するところですが、当時は差動出力(イントラですが)など全く考えられませんでしたし、シングルでのドライブは定位感の問題により初めから候補にありませんでした。
 何より当時の私の音に対する感覚と技量がまだまだ未熟であったと言う事と、審査する側の評価ポイントが私の意図するところとズレていたと言うことです。

その時コンテストに一緒に参加した山口美紀氏も同様の構成の並列給電型SEPPアンプだったため、私と同様の経験をされ、後のMJ1991年6月号で興味深い実験から差動出力のメリットを見いだした試作機を発表されています。

それまでに差動出力アンプは相川氏により2例発表されていましたが、ものすごい物量の割には得られる出力が小さく、回路的なメリットが充分に解説されたものではなかった為、その優位性が読者に伝わらなかったと思われます。

山口氏の手により具体的な差動出力段の動作が明らかにされ、以降差動出力アンプが知られる事となりました。
でも今日の差動アンプの隆盛はなんと言ってもぺるけさん(木村哲氏)のHP【情熱の真空管】のおかげです。


本機の歴史

1989年初製作: 初段 6072(12AY7)差動/次段 12BH7A差動 /カソフォロ段 6SN7para /2A3 OY-15-5K-HP DEPP出力

最初はオーソドックスに2段増幅+カソードフォロワードライブで普通のプッシュプルで組みました。
音質は非常にクリアでキラメキのあるものでしたが、最初はそれなりに聴けたのが暫くすると線が細くて2A3の個性を強く感じる様になりました。

1989年中旬: 初段 6072(12AY7)差動/次段 6BX7 イントラ NC-9 DEPP2A3 OY-15-5K-HP SEPP出力

既にDEPP出力段の音にに疑問を感じていたこの頃、並列給電型のSEPPを何台か実験しその音に説得力を感じましたので本機ではインターステージトランスを起用し、全段PPで出力段を並列給電のSEPPとしました。
イントラはSEPPにて完全な平衡ドライブを実現するための手段でしたが、直熱管を安全にドライブする意味でのメリットも大きく、最初は躊躇したトランス結合もシングルで得られた音質的経験から採用となりました。
2A3のイメージを打ち破る力強い音で一つの成果を確認出来ましたが、無帰還ではダンピングファクターが2とちょっと足りませんでした。

1990年: 初段 6072(12AY7)差動/次段 6BX7 イントラ NC-9 ブリッジ接続2A3 F2021 SEPP出力 KNF付き

ダンピングファクターを上げようとNFBをかけるにもインターステージトランスを跨いでの負帰還は気持ちの良いものではありません。SEPPでは出力段の1次側から戻す事が可能で帰還ループ内のトランスは1つで済ませる事が出来るのですが、何れにせよ無帰還主義の私にはやる気が起こりません。(実験はしています。)
ダンピングファクター向上はKNFによる局部帰還で対処することにし、2A3には少々大げさですが、友人が未使用のままストックしていたタムラのF2021を奪って載せ替えました。
この変更により僅かですがダンピングファクターが2.5にアップしました。(費用対効果で見るとちょっと寂しい)

1992年: 初段 6072(12AY7)差動/次段 6BX7 イントラ NC-9 ブリッジ接続/801A F2021 SEPP出力 KNF付き

回路構成は殆ど変わりありませんが、一時期801AでゼロバイアスB級SEPPを試しました。
B級出力の効率は良いのですが、つまらない音質と所詮B級アンプと言う事でひと月も経たずに”クビ”。

1994年: これ以後は2A3全段直結差動PPに改造されました。


 Back to Home 


Last update 17-Apr-2004