6BX7 CS4PPP  since  Dec 2019

      

前作 6L6CSPPP から出力管を6BX7へ変更し、出力段片ch当たり双3極管本を使い4ユニットパラレル接続のプッシュプル( 計8ユニット)CS4PPPにしてみました。

前作での6L6 x 8本は1995年製作の超3結差動アンプから直前のCSPPPまで長い旅路で既に20年以上経過していました。

元々H-K耐圧が高くないのにCSPPというキビシイ環境が災いし、退役前は時折H-K耐圧の問題と思われるスパークのようなノイズが出ていたこともあり、2018年で退役としました。

後で判明したことですが、実際はカソフォロ段のECC82のH-K耐圧不良がノイズの主原因でした。

でもやっぱり6L6 x 8本はこれでもう充分、ここでお役御免です。

元々16本の真空管を並べるというコンセプトで始まったアンプなので値段の安い、所謂駄球を使い倒すというのも目的の一部ですので、以前から構想にあった6BX7の多数並列でどの程度のモノが出来るかというお遊び的実験も兼ねています。


6BX7について

6BX7は元々がTV用垂直偏向用途の双3極管であり、1ユニットあたりの最大損失は10Wが許容されるのに、同時動作での両プレート損失合計が12Wまでに制限されるのでオーディオアンプのPP出力管として使うには半端でした。

本機では電源トランスの制限から元々6L6にも軽い動作しか与えておらず、そのプレート損失も12.5Wでしかなかったので6BX7のパラ接続でほぼそのまま引き継げる電力だったことが偶然でもあり好都合だったのです。

しかし、ヒーター電力は6L66.3V 0.9A からすると6BX76.3V 1.5Aと約1.7倍の電力を必要としますので、8本直並列にして12.6Vで点火しても6Aの電流容量が必要です。


回路図

まるでOTLアンプみたいな片バンク4パラレル接続ですが、回路的には前作をそのまま踏襲しています。

違いはビーム4極管が双3極管に変わったことでスクリーングリッドへの給電が無くなったことです。

さらに各グリッドに入れていた寄生振動止めの抵抗は取り去りました。その代わりに各球ごとに電流を測定する為の4.7Ωをカソードに挿入しています。


 

電源回路

電源は取りあえず前作そのままです。

6BX7のヒーターはも8本を2本ずつ直列にして12.6Vでの点火するにしても6A必要なので少々トランスの巻線容量を超えてしまっています。

しかし、実際12.6Vの電圧もほぼドロップしないので様子を見ています。 後日トランスかスイッチング電源を追加して対策の予定です。


基礎体力 ※ 漸く測定しました

   6BX7CS4PPP  6L6CSPPP(※旧)
 最大出力(ノンクリップ)  33W  32W
 ゲイン  22.2dB  22.6dB
 高域カットオフ (-3dB)  100KHz   110KHz
 ダンピングファクター  20.0(8Ω)  14.7(8Ω)
 残留ノイズ  1.0mV  0.3mV

 以前とほぼ同じ性能を維持しておりますが、三極管故にDFはさらに大きくなりました。残留ノイズが若干増えたのは良く判りません。
 

 


■ 音質傾向

6L6 x 86BX7 x 8 の違いですが、ドライバーのECC82 x 4 も新しい球に交換したので厳密には出力管だけの違いではありませんが、ECC82は新品とは言え同じブランドなのでこちらの違いはほぼ無いでしょう。

そんなわけでビーム管のパラプッシュよりも3極管の4パラの方がどっしり重心が下がったように感じます。

 


雑感

本機の構想はずいぶん前から考えてはいましたが、6L6が意外に長持ちしてしま った為に実現までには随分と時間がかかってしまいました。

でも、いざやるとなると今度はなかなか手に付かず、1年以上裏返したままで放置されていました。

パラともなると各ユニットのバラツキが気になりますが、球の内部の2つのユニットは1個の3極管と見なして実質2球のパラとして無視することにしました。

ヒーターを直列にしたこともあってか、案外バラツキの少ない組み合わせが出来たことは成果なのか偶然なのか?


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Last update 11-Dec-2022