6L6 CSPP(+P)  since  Jan 2005

 

前作 6L6超3極管接続差動PP からOPTを変更し、出力段をCSPP(クロスシャントプッシュプル)にしてみました。

自作では例の少ない回路方式ですが、古くはマッキントッシュ MC-275 に代表されるユニティ・カップルと呼ばれる回路や、日本ではラックスが MQ-80 MB-3045(A3000) 等に採用していました。

その特徴は出力段が交流的にパラレル接続されて動作するSEPPの1種でありながら、マッキントッシュやラックスのスタイルではフローティング電源を使用することなく直流でも交流動作の視点から見ても上下対称になることです。
動作の基本はSEPPですのでOPTでの磁気結合によるプッシュプル合成が無く、AB級動作でもDEPPの様に片側カットオフ時に1次巻線が解放になると言う問題がありません。
但し、ドライブにはひと工夫が必要ですので大出力になるほど簡単とは言えない回路です。

これもまた、上條信一氏が詳しく解説してくれていますので是非こちらを参照下さい。

本機の前身は差動PPでしたので、今回のCSPPも同様にOPTでの磁気結合によるPP合成では無いのですが、差動PPではOPT1次巻線と出力管が全て直列に接続されたPP合成なのに対し、マッキントッシュタイプCSPPでは並列に合成されます。故にOPTの1次2次間の巻数比がDEPPの2分の1、インピーダンス比では4分の1になるため周波数特性(特に高域)と損失の点で有利になります。
また、多極管動作ではスクリーングリッド(G2)を相手側プレートに接続することによりカソードとG2をブートストラップ出来るので理想的な多極管動作が可能になり、50%と多量のKNFも相まって、多極管動作でも高いダンピングファクターが期待出来ます。
一方でスクリーングリッドへの電源を中点のBから供給すればプレートとカソードから50%で対称になるのでOPTの特性に左右されないある意味理想的なUL動作にもなります。

前作から引き継ぐ超3結Ver.1は元々電流性ドライブにて100%P−G帰還を励振している回路なので、50%カソード負帰還のせいで必然的に大きなドライブ電圧を必要とするCSPPには好都合というか、うってつけのドライブ方式です。

先ずはOPTと少しの配線変更で改造前の差動PPの回路定数を踏襲し、出力段の違いを比較してみたいと思います。

後半は パラレル・プッシュ・プル (Oct.05)、 さらに Rev.2 (Dec.05)、 Rev.3 (Mar.07)、 Rev.4 (Jan.09)、 Rev.5 (Jan.11) へと続きます。


OPTについて

マッキントッシュタイプCSPPとなると普通に売られているOPTは殆ど使えません。
変更前の差動PPでは OY-15-5K を使っていましたが、もちろんこれは使えません。

1次側に両端から等しい巻数にセンタータップを持った2巻線スプリット(或いは4巻線スプリット)が必要になりますが、 2005年現在市販されている国産トランスでこの条件を満たすものは無いようです。普通のOPTのSGタップは43%付近に設定されていますので、残念ながらタムラの様なスプリットであってもダメです。

国産では唯一、旧TANGOCRDシリーズが1次側スプリットで、尚かつUL端子が50%に設定されていた為、これをマッキントッシュタイプCSPPに利用することが可能です。事実、上條さんの 6CW5/EL86 CSPP の作例で実際に使用されていますし、実験レベルでは私も数年前に CRD-5 で確認済みです。しかし、残念なことに現在はISOのラインアップに無いので新品での入手は不可能です。

PP用トランスを片ch2個使うという手もありますが、1次巻線インピーダンスをDEPPの1/4で考えなければならないので、適当なものが簡単には見つからないでしょう。というのも16Ω端子を使って8Ω負荷としても1次インピーダンスは1/2にしかならないからです。

今回使用した Softon RX-40-5 は本来通常のDEPP用に設計されたもので、特別CSPPへの配慮がされたものではありませんが、なんと嬉しいことにSGタップが50%の巻数比で出ているのです。これはP1、SG1側とP2、SG2側を中点のBから切り離してスプリットにすればマッキントッシュタイプに応用することが可能なのです。
幸いケース内部はピッチ等が充填されていないので改造の為のアクセスが比較的容易に出来ます。
先駆者である上條さんはより大型である同社の RW-40-5 を改造し、掲示板にて発表されましたのでご覧になられた方もおられると思います。(今現在はEL-519CSPPパワーアンプの製作として掲載されています。)

本機で使用した RX-40-5改 の改造の様子はこちら

出来ることならCSPP専用に設計されたバイファイラ巻きのOPTが欲しいところですが、需要の無いところに供給は無いのが世の流れです。
需要が沢山あれば考えてくれるメーカーが出てくるかも知れませんが、まず無理でしょう。なんと2009年秋より染谷電子から市販されています)
アマチュアにとっては使えるトランスがあるだけでもとても有難いことです。


回路図 Rev.0

冒頭マッキントッシュタイプCSPPは簡単ではないと書きましたが、本機では元々の出力が大きくないのでCSPPへの変更は容易です。

差動PPからの回路上の変更点は出力段にOPTのカソード側巻線を書き加えたのと、6L6 のスクリーングリッドを互いに相手のプレートに繋ぎ変えたくらいで、とりあえず定電流回路はそのまま使い、DCサーボも変わらずそのまま動作します。
一見、ともすると超3結にKNFを施したようなお馬鹿な回路にも見えますが、プレートとカソードからそれぞれ50%づつの出力を取り出すCSPPであることが出力段の動作を全くの別物にしています。
  Softon RX-40-5 の2次側は6Ωに固定されて他のタップが無く、8Ωを負荷とすると普通のDEPPでは6.6KΩの1次インピーダンスとなり、CSPPの本機ではSEPPと同様に4分の1の1.65KΩとして動作します。

変更前の差動PPでのOY-15-5Kでも6Ωタップに8Ωを負荷として使っていたのでP-P間6.6KΩでした。CSPPになっても球のロードラインは3.3KΩで差動PPの時と一緒です。 DEPPや差動では負荷が直列なので設定する球の動作負荷線(負荷抵抗)の2倍のインピーダンスになり、SEPPやCSPPでは負荷に対し並列に接続される為、半分のインピーダンスになる訳です。

本機(このバージョン)に限っていえばCSPPになってもカソードに流れる電流を共通の定電流回路で制限していますので以前の差動PPと同様にA級動作に限られます。
しかし、本機CSPP出力段では差動出力のように両カソードを縛っている訳ではないので同相帰還による差動効果(2次歪み抑制)はありません。この回路での定電流は出力段のバイアスを自動調整する役目を担っています。

CSPPではプレート側と同様にカソードからも50%の出力を取り出すことによって50%のカソード負帰還がかかり、出力管の非直線性を改善します。
従って最も差動PPと違うところはトランスのインピーダンス比であり、差動PPが6.6KΩであったのに対し、CSPPでは1.65KΩとなり、後者の方がトランスとしての特性では有利になり、巻線間容量等 を例に取ってみても当然インピーダンスの低い回路の方が受ける影響は小さくなります。

本来ならば交流的に同電位になるP1−K2間とP2−K1間を電解コンデンサで交流的にショートすべきところですが、この回路では定電流回路のおかげで電源がハイ・インピーダンスになり、音声信号は差動PPの様に電源を通過することなく、交流等価でOPT1次巻線と2本の出力管が直列に接続された1本のループになるために問題がありません。なぜならばA級動作ではカットオフせずにループ内の電流がとぎれることがないので、コンデンサでショートしなくてもOPTは並列のシングルエンドとして動作し、交流的にイマジナリー・ショート状態で平衡を保ちます。


電源回路 Rev.0

電源には全く手を入れておらず前作そのままです。電圧の誤差はご愛敬(^^;)


基礎体力 Rev.0

   CSPP  差動PP(※旧)
 最大出力(ノンクリップ)  10.5W  10W
 ゲイン  23.7dB  21.4dB
 高域カットオフ (-3dB)  85KHz (※注)  100KHz
 ダンピングファクター  6.25(8Ω)  4.55(8Ω)
 残留ノイズ  0.5mV  0.5mV

変更前の差動PPに比べると出力で10.5Wと僅かながらアップ、基本的に球の動作条件は変わっていないのでOPT変更による損失の差とCSPP回路により電圧変換比が2分の1となった為の内部抵抗減少による損失減少と考えられます。

 

歪みは100Hz・1KHz・10KHzと良く揃っています。
唯、以前の差動出力よりクリッピングポイントが僅かながら上昇しているにもかかわらず、最大出力付近の歪み率は逆に悪化しています。

 

今回はファンクションジェネレーターを使って超低域まで計ってみましたが、カットオフポイントは3.6HzとRコアのメリット?が出ているようです。
※注
高域カットオフポイント(fc)はOY-15-5Kの時よりも弱冠下がって85KHzです。これは回路の違いと言うよりもトランスの違いと思われます。
340KHz付近に小さなピークが見られますが RX-40-5 の特徴の一つのようです。

ゲインとダンピングファクターは共に上昇しました。  CSPPを採用することにより、OPTの1次巻線がプレートとカソードに50%ずつ配分されることにより超3結によるプレートからの帰還電圧も半分となって超3結効果は半減しますが、マッキントッシュタイプCSPPではカソードに50%の帰還がかかりますから結局ほぼ100%帰還であることに変わりありません。

単純にOPTでの変圧比が差動PP時の2倍になったことでゲインは6dB上昇するかのように見えますが、出力段がパラレル動作になったことで1次巻線の最大電圧振幅は半分になるので結局2次側電圧は一緒です。しかし、初段に帰還される電圧も半分に減少する為以前の差動PP回路よりもゲインが上昇します。

初段は電流ドライブなのでインピーダンスが無限大ならゲインが6dB上がっても良さそうに見えるのですが、上がったゲインはそのまま帰還量の増加にもなり、約半分の3dBの上昇になりました。実際は損失等で2.3dBの増加に留まったようです。

 


■ CSPPの欠点

良いところばかり書いた本機のマッキントッシュタイプCSPP回路ですが、カソードから50%の出力を取り出すことによって新たな問題が生じます。

50%の帰還がかかると言うことは出力段のゲインが2倍未満でしか無いことです。
すなわちドライブするのに出力電圧の半分以上の電圧を必要とします。しかし、出力段に50%の帰還を必要としない、またはオーバーオールの負帰還で最終的な特性を纏める場合にはブートストラップ等の打ち消し回路や電流ドライブ等により軽減することは可能です。
SEPP・OTLでよく使われるブートストラップは通常上側の球に対して用いられますが、マッキントッシュタイプCSPPでは上下ともコモン(グランド)から対称なのでブートストラップも対称動作となります。

マッキントッシュやLUXではブートストラップを利用して出力管をドライブし大出力を実現しています。
引き替えにKNFが減り、出力段の内部抵抗が上昇するのでダンピングファクターも下がりますが、最終的な特性はオーバーオールのNFBによって纏められています。

例えば本機に於いて10W出力時に発生する1次巻線の信号電圧を計算すると128Vrms、 Peak to Peak では2√2倍の360Vにも達します。
このことは出力管のカソードはプレートと同じ信号電圧で振られ、アースから見ても±180Vになります。
6L6G
のHK間耐圧は規格表によると±180Vとなっていますが、他の資料では+100−200だったりしますし、6P3Sでは100Vとしかありません。
本来ならば直熱管のようにそれぞれ独立したヒーター巻線(電源)を用意してそれぞれのカソードに接続しておくべきところでしょうが、こうすると傍熱管のメリットなど全く意味が無くなり、6L6類似の直熱管である1619でも使った方が良さそうです。

LUXの回路を見てもヒーター回路は単にアース接続されており、MB-3045 でも60Wの出力を考慮したものとは思えません。 マッキンの MC-275 でも同様で、75Wもの出力ではOPTの負荷が900Ω(推定3.6Kの1/4)だとしても260Vrmsにも達し、もっと危ない様に見えます。 前述したようにHKを接続してしまうか(直熱管と同等)又はHK耐圧の高い(300V) 6336A, 6AS7G, 6080 等のレギュレーター管が向いているのでしょうが、LUXやマッキンで実際に絶縁破壊事故が発生したのかは不明です。

信頼性に弱冠の疑問は残りますが、レギュレーター回路の様に常に高いDC電圧に晒される訳ではなく、常にフルパワーで稼働するわけでも無いので目を瞑ったのかも知れません。今のところは自分で検証するしかありません。


■ 音質傾向

差動PPの時とはOPTが違いますので、本当は RX-40-5 の改造前と後で比較すべきところですが、どうせ私の駄耳ではトランスの音色の違いなぞ判りません。

先入観が無いわけでもありませんが、前述した本機での差動PPとCSPPでの動作の違いからも想像出来る様な音の違いがあります。

差動PPは優しく耳あたりの良い音ですが、時に優しすぎてソースによっては物足りなく感じることがあり、言わばこの点が私の差動PPへの唯一の不満点(欠点とも認識)でもあったわけで、PP動作が直列になり負荷が高インピーダンスの為に生じる差動回路独特の音のキャラクターなのかも知れません。
対するCSPPでは極端な差ではありませんが、差動PPよりも力強く感じます。

以前 50C-A10 TANGO CRD-5 で実験した時も同様の印象を持ちましたのでまんざら気のせいでもないと考えています。

 


雑感

本機の構想は1年以上前からありましたが、やりたいことが沢山あってだいぶ後回しになってしまい、もたもたしてるうちに友人N氏に先を越されてしまいました。
そのN氏が製作したEL34CSPPはAB級、初段は半導体のハイブリッド構成でこれも超3結タイプで帰還管は6SN7なので、いわゆる上條さんの EL34 超3極管接続Ver.1プッシュプルパワーアンプ をCSPPにしたような構成です。

本機とN氏のアンプとは初段も出力管も違うのに出てくる音は全くと言って良い程一緒で、数ワットの試聴レベルでは瞬時に切り換えてもその違いが全くわかりませんでした。

これまでの差動PPが必然的にA級動作だった為に定電流回路を残した本機も同じくA級動作となっていますが、AB級(32W x 2)であるN氏のアンプでもなんら遜色ない聴感が得られているので、マッキントッシュタイプCSPPではA級に拘る必要も無いかなと思います。

差動と同じく全段平衡動作だし、スイッチングトランジェント歪みは無いし、電源から見てもバランスしていることがA級との比較にも関わらずAB級のハンディをまるで感じさせません。

次は非効率的な現在の6L6による出力段定電流回路を止めて、8本の6L6を生かしたAB級のパラレルプッシュプルに発展させる予定です。


 P3 (Parallel Push Pull) への進化 Rev.1 Oct. 2005

差動PPでは共通カソードに定電流源が必要ですが、マッキントッシュタイプCSPPでは定電流源が無くても問題ありません。と言うよりもA級に拘らなければ必然性は全くないのでむしろ邪魔です。
前述したように本機では出力段バイアス自動調整の目的で残していました
が、同時にA級動作に限定されていた訳です。

いよいよ定電流源を取り払って出力段をAB級のパラレル・プッシュ・プルとしてアンプ全体で効率のアップを目指します。

パラプッシュへの変更で考慮すべきポイントを列挙すると。

  1. 先ず、出力段のカソード電位を固定する電源を確定しなければならない。(嵩上げ電源等)
  2. AB級のアイドリングは1本あたり40mAで片ch(4本)160mA前後にする。
  3. アイドリングが電源変動に煽られないように工夫する必要有り。
  4. OPTインピーダンスの見直しが必要。
  5. 初段のヒーター電源の独立。

欲張るとキリがない為、手っ取り早く現実的な方法をとることにしました。


回路図 Rev.1

案ずるよりも産むが安し。あれこれ深く考える前にさっさとでっち上げないとちっとも進まないのです...。

出力段の定電流源になっていた6L62本を出力段にパラ接続で窮屈な回路図になってしまいました。
今度はAB級の(つもり?)為、P-1 と K-2、P-2 と K-1の間をそれぞれ120μF/400Vの電解コンデンサで結んであります。
6L61本のgmは5.5〜6mS程度ですが、パラにすると11〜12mS となってEL34並のgmになり、それにつれて超3結がより効果的になりますが、マッキントッシュタイプCSPPでは50%の帰還がカソ−ド側からもたらされるのでもはやこれを超3結と呼ぶには疑問になってきます。
流石にそれぞれの6L6のグリッドに抵抗を直列に入れておかないと寄生発振に見舞われます。

電源変動の補正は初段定電流を工夫して実現します。
先ず、出力段は電源変動に敏感で電圧が変動するとアイドル電流が大きく変動しますが、グリッド電位は初段と帰還管によってバランスしている為、初段の定電流に依存させる事が出来ます。定電流回路の電源も安定化していないので電圧が上昇するとバイアスも上昇して電流が増えます。すると出力段のグリッド電位が下降してアイドリングを減らします。しかし、抵抗だけの分圧で得たグリッドバイアス変動では充分とは言えず、出力段のアイドリングの補正にはまだ足りません。そこで定電流回路グリッドバイアスの上側に仕組んだツェナーにより電源変動をさらに顕著に反映させる様にしました。
上條さんのPSDCの様に電流を一定に保つようなコントロールは出来ませんが、これで充分な補正ができます。最初はツェナーを80Vでやったところ効き過ぎてしまい最終的に30Vツェナーにし、弱冠ながらも過補正状態にしてあります。これにて±10Vの電源変動でも±1mA/球の変動に収まっています。
アイドリング調整VRは5K(10K)となっていますがこれは左右のchで10KΩVRを2個接続した為で、それぞれの摺動子を左右のchに振り分けていて、このバイアス回路を左右共通で使っている訳です。


電源回路 Rev.1

電源は350V巻線にセンタータップがあるのを利用して、中点電位を嵩上げ電源として利用します。
6L6にかかる実効プレート電圧は220V程度しかありませんが、発熱が押さえられるし、パラプッシュなので出力は充分取れるとの判断です。
初段6RR8のヒーターは独立させる為にトランスを追加しました。


■ とりあえず?基礎体力 Rev.1

   CSPPP[6.6K/球]  CSPPP[1.66K/球]
 最大出力(ノンクリップ)  10.5W  16.0W
 ゲイン  21.5 dB  (未測定)
 高域カットオフ (-3dB)  100 KHz (※注)  (未測定)
 ダンピングファクター  7.7(8Ω)  2.0(8Ω)
 残留ノイズ  0.65mV  (未測定)

パラプッシュになり、プレート電圧や負荷線と言った動作条件は以前と違ってますが、[6.6K/球]の場合は負荷線が寝てしまっている為に動作はA級動作の範囲を超えられません(カットオフしない)。
プレート電圧が下がってもパラのおかげで以前と同様の出力をキープしつつ、ダンピングファクターが上昇しています。
以前は定電流源として直接的に出力には無効な電力(発熱)を扱っていた2本x2chの6L6が出力電力に関与するようになっただけでもこのアンプは電力効率のアップです。(馬鹿さ加減が少し減りました(^^;)

一方、[1.66K/球]の場合は低プレート電圧でもそこそこの出力が取れますが、やはり負荷線が立ちすぎで6L6のAB1級では重すぎです。
ダンピングファクターもガックリ落ちてこれはちょっと実用とするには考えさせられる値です。
AB2級としてグリッドをプラス側に20Vくらいドライブ出来ればかなりの大出力が見込まれますが、ドライバー段の設計をやり直さねばならないし、ダンピングファクターを改善する為にもオーバーオールの負帰還を含めて考えなくては実用とするにはちょっと物足りません。

プレート電圧をもっと掛けられれば20W以上は楽に取れそうですが、どちらも適正な動作とは言えず、中途半端なパラレルプッシュプルです。
電源を工夫して450Vくらい掛けることは可能ですが、6L6は最大定格でプレート電圧が400Vとありますから、定格をオーバーしてしまいますし、それでも24W程度が良いところ。おまけにドライブ電圧が50%帰還により半分が相殺されるために初段のプレート電圧も高く保つ必要があり、今度は初段の耐圧もオーバーしてしまいます。
計算ではプレート電圧350Vに於ける[3.3K/球]の動作で40Wオーバーが得られる勘定ですが、初段には250V程度与える必要があり、6RR8のままでは耐圧が低く、拙いです。

もしも RX-40-5 に初めから12Ω(16Ω)タップが付いていれば、パラプッシュでも最適負荷[3.3K/球]が選べるのですが、6Ω(8Ω)のみの2次巻線という設定が足枷になっています。

高域カットオフ(※注)は入力のフィルターコンデンサを220PFから150PFに変更したので100KHzとなっていますが、フィルターを省けば125KHzまで延びます。

残留ノイズは電源トランスの定格に近い320mAの電流を取り出したことにより電源リップルが増えたことと、定電流回路の6EJ7以外のヒーターを直列にして12V点火にしたせいか若干悪化しています。


音質傾向

暫定[6.6K/球]の動作は結果的にAB級にはならずにA級増幅のままになってしまいましたが、第一印象は半導体アンプのようなスピード感に管球式のしなやかさが同居していると言えば誉めすぎでしょうか?(自己評価ですから過大な期待は禁物...。)

でも自分の感覚では本機が差動PPの時代から比べると6L6でもEL34を凌駕しうる音質へと進化したと感じています。
本機がまだ差動PPの頃はEL34差動PPに比べると定位感でちょっと落ち着かない印象がありましたが、CSPPで腰が据わり、CSPPPでどっしりと落ち着いた感覚です。

これは以前の定電流源が球だったことが少なからず影響していたのかも知れませんが、出力段のインピーダンスが1/4になった故の1つの効果と考えられ、SEPP回路に共通する音質的傾向と思います。もう一つは差動PPで中途半端だった6L6のスクリーングリッドがブートストラップによりネイティブなビーム管動作になったことも要因として考えられます。
もとより、初段の6RR8は半導体寄り?の音がしていたのですが、CSPPにより高域の質感が私的に好ましい方向に変化しています。


問題点

本機にはこの時点でちょっと問題あり。電源投入時に初段よりも出力管の方が少しばかり先にウォームアップしてしまうので、立ち上がり時に数秒の間グリッドが高電圧に晒されて言わばロフチンホワイトアンプのように過電流状態になります。直熱管程ではないが、6L6には辛い瞬間なのでなんとかせねば...。

ロードラインはいろいろ引いて検討したが、どれもこれも決定打がない。(OPTインピーダンスと電源電圧の制限による)
...。

 

本機の構成には色々と制限があり、まともな動作をさせようとすると電源トランスやOPT、球も含めて変更しないと効率の良いポイントには持っていけません。

最初からCSPPPとして設計して球や部品を選択していればもう少しマトモ?なものになったかも知れませんが、所詮は前作の焼き直し、沢山の妥協の産物です。

アンプとしては電源利用効率が上がり、以前よりも少ない消費電力で同等の出力を得られることがせめてもの慰めです。

パラプッシュでやるのなら6V6とか6F6の方がOPTにマッチしそうですが、何れにしても電源トランスは変更が必要です。

上條さんの 6CW5/EL86 CSPP はコンパクトなMT管で 20W/ch と適切な設計により効率良く出力が得られています。
本来はこうありたいものです。


 CSPPP  Rev.2  Dec. 2005

前回のPPPへの変更では電源投入時に一つ問題がありました。
それは出力管6L6のウォームアップが初段よりも弱冠早いために、ウォームアップの途中で出力管グリッド電圧が上昇して一時的ではありますが、出力管が過電流になってしまうことです。一時的とは言え過電流はカソードを痛め、エミッション低下の原因となります。

これを回避する為にウォームアップ中は出力段の電流を制御してウォームアップ後にバイパスする回路も考えましたが、どうせ半導体回路を追加してしまうのならば、初段定電流を半導体化し、それまでの6EJ7のスペースにもう1本のECC82(12AU7)を立て、カソードフォロワーとしてドライブ能力のアップを図りました。
カソードフォロワーならば前段が出力管より遅く立ち上がっても出力管のグリッド電位が高電圧に晒される危険を回避出来ます。

このカソードフォロワーには2ユニットのバラツキ選別から外れたECC82(12AU7)が使えるので資源の有効利用になり、ちょっぴりエコロジーです。
当然これも帰還管と同じヒーター電源を利用するので12.6V点火とし、出力管と共通のヒーターバイアスが掛かります。


回路図 Rev.2

さらに窮屈な回路図になってしまいました。
追加したECC82(12AU7)はカソードフォロワーで上下を構成しており、帰還管との管内ペアではありません。帰還管は上下の対称性が要求されますが、カソードフォロワーでは球のバラツキよりも抵抗値のバラツキの方が問題になります。おかげでペアバランスの選別から外れた半ばジャンク扱いのECC82
(12AU7)を利用することが出来ます。

マッキントッシュタイプCSPPでは出力管のカソ−ドに出力電圧の50%が現れ、それが負帰還として作用する為にドライブ段(ここではカソードフォロワー)にはその電圧を打ち消す以上のドライブ電圧が必要です。そこでカソードフォロワーのプレートをB電源に繋いでしまうと大入力時は実効プレート電圧が下がってしまい、リニアリティを損ねます。そこで上下のカソードフォロワーECC82(12AU7)のプレートは互いに反対側の出力管プレートに接続します。上側のカソードと下側のプレートは電解コンデンサを介して交流的に接続されており、カソードフォロワーのプレートは出力段のカソードにブートストラップとなり、常に一定のプレート・カソード間電圧が保たれます。

初段の定電流回路にはそれまでの5極管(6EJ7)から簡単に置き換える為に高耐圧(450V)MOS-FET 2SK320 を使いました。これは-12V程度を用意してやればTRでもFETでも普通に定電流回路が組めますが、せっかく上手い具合に動作しているPSDCもどきをやり直すのが面倒なので単純な置き換えになっています。けれども5極管の様なスクリーングリッド電流が無い分ソース抵抗に流れる電流が少ないので、その抵抗値を10KΩから12KΩに変更しています。


電源回路 Rev.2

電源の変更は初段定電流だった6EJ7のヒーター回路が不要になっただけで、追加したECC82のヒーターは帰還管や出力管と同じ巻線から取る。


基礎体力 Rev.2

   8Ω負荷[6.6K/球]  4Ω負荷[3.3K/球]  2Ω負荷[1.66K/球]
 最大出力(ノンクリップ)  10.5W  16.0W  14.0W
 ゲイン  21.5 dB  23.7 dB  24.6 dB
 高域カットオフ (-3dB)  110 KHz   100 KHz   85 KHz 
 ダンピングファクター  7.7  3.85  2.0
 残留ノイズ  0.86 mV  0.74 mV  0.42 mV

負荷抵抗に8Ω・4Ω・2Ωを繋いでそれぞれの負荷の出力を測定しました。
カソードフォロワーを挿入して出力が増えるかと期待しましたが、さっぱりです。
クリップ直前の波形の崩れが少ないのが改善したポイントでしょうか。

所詮210V程度のプレート電圧では20Wを越えられませんでしたが、前にも述べたように電源を工夫して350Vくらいかければ楽に出力は稼げます。
しかし、既に初段の電圧が定格の180Vをオーバーしており、初段を変更するか逆に電圧を下げる工夫をしなければなりません。

ものは考えようでして、普段は8Ω負荷のA級動作で充分な出力があり、4Ω負荷ではAB級動作で出力が増える。となればまるで半導体アンプみたいで面白いです。

パラレルにする前のCSPPとの比較では僅かながら曲線が緩やかになりましたが傾向は一緒です。100Hz・1KHz・10KHzそれぞれの差が少ないのが特徴。

こちらもパラレルにする前のCSPPとの比較で高域レスポンスが弱冠向上しているが、以前よりOPTを低インピーダンスでドライブしているからに他ならない。


雑感

パラレルプッシュプルという物量を投じた割には制限や妥協点が多くて結果的に思った程(電源電圧が上げられず)出力が取れませんでしたが、その音質は前にも述べたように全段差動の旧作を凌駕するものを感じます。ただ、部品や回路構成が一般的とは言えず、初心者の方に勧められるものではありません。

本機の構成はいささか中途半端ですが、自作では馬鹿さ加減も自己責任なら何でも許容出来てしまいます。
まあ、将来最適負荷が自由に選べるOPTが出現することを期待したいところですが...開き直って6BX7等の双3極管をchあたり4本(8ユニット)列べての4パラプッシュプルなんてのも面白そうです。最終的に本機の6L6はプレート損失が1本あたり8.4Wでしかなく、最大定格半分以下のかな〜り軽い動作ですが、2ユニット同時で10Wの制限がある6BX7を2ユニットパラで動作させても8.4Wなら余裕だし発熱も大したことはないし...、4パラだとrpが1/4になるので1次側417Ω[1ユニットあたり3.3K負荷になる]で設定してもそこそこダンピングファクターも稼げそうです。但し、6BX7のヒータ電流が1.5AとEL34並に大食いなのが足を引っ張りそうですけど...。

元祖マッキントッシュ回路がいくら優れていても一般化しなかったのはコストとメリットのバランスに一因があったのでしょうし、人の好みは千差万別ですから、マッキントッシュと言うブランドは評価されても、独創的な回路方式までは認知されなかったのでしょうか?(と言うか私のような凡人には理解出来なかった?)
そのせいかどうかは判りませんが MC-275 の姿を真似たアンプはあまた出現しても、回路までマッキントッシュタイプのものは見たことがありませんね。

手間はかかるけど一般的なDEPPとSEPPの欠点を持たないマッキントッシュタイプCSPP回路が極めて少数派であることが私的には嬉しかったりする。


■ 小変更 (2006/09/18)

初段の6RR8は耐圧(180V)をオーバーしていたので、6EJ7に変更しました。これで一安心(^^;


 CSPPP  Rev.3  Mar. 2007

アンプ回路には殆ど変更ありませんが、本機にもっと相応しい電源トランスが入手出来たので軽い変更です。
パラレル・プッシュ・プルという大袈裟な構成のわりには中途半端な出力電力しか取り出せないジレンマを少し和らげられそうです。

Rev.2迄使っていたST-350ではB巻線が350Vと高過ぎる為、センタータップを利用して半分の175Vからの両波整流にて6L6に実質210V程度のプレート電圧しか与えることが出来ませんでしたが、今回のMS-360ではB電源に300V以上を確保して出力アップを目指しました。

ちなみに、6L6の最大定格(設計中心)はプレート電圧360V、スクリーン電圧270V、プレート損失19Wです。


回路図 Rev.3

出力段への供給電圧320Vに合わせて各部の電圧配分を調整。
スクリーン電圧は270Vの以下の制限が有るため51Vツェナーを入れて対処。
高出力時に寄生発振が見られたので6L6のグリッド抵抗を560Ωから5.1KΩに変更し、スクリーンも独立させました。

6L6 1本あたりのプレート入力(損失)はこれでも12.5Wでしかなく、最大定格の19Wからするとまだまだ余裕があります。


電源回路 Rev.3

電源トランスをST-350からMS-360へ換装して+Bは320Vを得、嵩上げ電圧は同じ巻線から負側に倍電圧整流として300V確保しています。

初段定電流(2SK320)の熱損失を減らす為に−B電源は倍電圧整流からブリッジ整流(−100V)に変更しました。


基礎体力 Rev.3

 

 CSPPP
8Ω負荷[6.6K/球]

 CSPPP
4Ω負荷[3.3K/球]
 CSPP(2球PP)
[3.3K/球]
 最大出力(歪率5%)  24.0W  33.0W  16.0W
 ゲイン  24.6 dB    24.0 dB
 高域カットオフ (-3dB)  110 KHz   100 KHz   110 KHz 
 ダンピングファクター  7.7(8Ω)  3.85  4.55
 残留ノイズ  0.4 mV  −  −

Rev.2の10.5Wに比べると出力で2倍以上になり、電源のノイズも減ってすこぶる良い感じです。
以前としてOPTのマッチングはとれていない状態なのでパラレル・プッシュ・プルとしてはいささかもの足りませんが、4Ω負荷の実験では33Wが出ているのでOPTのマッチングさえ取れればまともなアンプに見えます。(ホンマかいな?(^^;)

ものは試しにと、出力段6L6を片ch2本にしてパラレルではないCSPPとしても特性や出力を確認しましたが、当然の如くの結果でこのままCSPPで使用する方がアンプとしてはまともです(^^;


周波数特性と10KHz方形波応答写真。350KHzのピークのせいで肩に僅かにリンギングがある。

今回MS-360の260Vタップにて得られた+B電圧は320Vでしたが、280Vタップを使えば340V程度までは供給出来そうです。
しかし、270Vに制限されるスクリーン電圧はさらに(ツェナーを重ねる等して)抑える必要があるし、同じ巻線から得ている嵩上げ電源電圧も大きくなり過ぎてしまうので止めました。


雑感

まあ、その気になって限界まで搾り出そうと思えばあと数ワットは取れそうですが、最大出力へのチャレンジが目的ではないのでこのアンプはこれで最終バージョンとするつもりです。もし、将来このCSPPPに適したインピーダンス(600〜800Ω≒2.4〜3.2K/球)のOPTが現れれば改めて考えたいと思います。

当たり前ですが、無理してパラプッシュに拘る必要などありません。本機は単なる成り行きで16本の球で遊んでいるだけなのです。
EL346L6GCを起用すれば  RX-40-5(改) のままでも20〜30Wは簡単に実現出来ます。(既に友人N氏はEL34で32WのCSPPを実現しています。)

本機の特徴はその球数とアクロバティックで大袈裟とも云える回路構成にありますが、全段差動と同様の音像定位と低インピーダンスOPTによるSEPP動作がもたらすジェントルで芯のある高域を併せ持った音質が収穫です。

管球式SEPP・OTLでなく、全段差動でもない、私的に最も合理的と思える回路がマッキントッシュタイプ全段直結CSPPなのです(^^;

 


 CSPPP  Rev.4  Jan. 2009

 

2008年12月、この数年OPT等トランスの自作にチャレンジされているARITOさんより思いがけないオファーを戴き、バイファイラ捲きトランスの試作品をテストする機会に恵まれました。

本機はパラレル・プッシュプルの為に、これまで使用していたソフトンのRX-40-5(改)では本来あるべき負荷インピーダンスとマッチングが取れていませんでした。
RX-40-5は1次5KΩ、2次6Ωなのですが、これに8Ωを負荷すると1次は6.6KΩ相当になります。
普通のDEPPならばこれで6L6にはぴったりなのですが、本機ではパラプッシュにしたことによりその半分の3.3KΩが本来あるべきインピーダンス仕様です。
本機はCSPPなので1次巻線は通常のPPトランスを半分に分割した様なスプリット2巻線であり、それ故に3.3KΩの1/4である825Ωが適正なインピーダンス仕様と言うことになりますが、そうなると以前ではかなり寝ていた負荷線が立つので、ダンピングファクターが低下してしまいます。
Rev.3で約7.7あるDFが半分になると4を割ってしまう危惧があるので、今回はちょっと高めの負荷にして1KΩ(DEPP相当で4KΩ)の1次インピーダンスでバイファイラ捲きOPTを試作して戴きました。(激感謝 m(_ _)m)

これまでの
RX-40-5(改)だと本機CSPPPでは1球あたりの負荷は6.6KΩでしたが、今度は1球あたり4KΩの負荷になるので、本来あるべき動作に近づくことになります。

 


回路図 Rev.4

OPTがバイファイラ捲きになったのでP1−K2、P2−K1間に入れていた電解コンデンサを取り外しました。
(もちろんコンデンサはそのまま付けておいても良いのですが、以前はOPTのケースの中に収めていたためにその場所が無くなったので別の場所につけるのが面倒になってしまった...(^^;)


基礎体力 Rev.4

  バイファイラ捲き蟻印  SEABASSスペシャル  RX-40-5(改)
 負荷インピーダンス  4KΩ/球  6.6KΩ/球
 最大出力(歪率5%)  32W  24W
 ゲイン  25.8dB  24.6dB
 高域カットオフ (-3dB)  42KHz  110KHz
 ダンピングファクター  5.6(8Ω)  7.7(8Ω)
 残留ノイズ  0.8mV  0.4mV

出力は32Wと大幅にアップ、RX-40-5(改)に4Ωを負荷したときとほぼ同じ出力が得られました。
ダンピングファクターもほぼ狙ったとおり5以上を確保出来ました。

残留ノイズが増えていますが、これは先ずP1−K2、P2−K1間に入れていた電解コンデンサを取り外したことにより、電源ハム低減効果が薄れたことが一番に挙げられます。さらにOPT1次インピーダンスが下がって1次と2次の変圧比が変わった(14.4:1→11.2:1)ことでノイズも弱冠上昇したものと思われます。


周波数特性と10KHz方形波応答写真。OPTの高域レスポンスを反映して肩が丸い。

RX-40-5 に見られる350KHz付近のピークの様なモノは全く無く、非常に綺麗な減衰特性を示しています。
しかし、高域カットオフポイントが42KHzとだいぶ低いところに下がってしまいました。
これが結合の良いバイファイラ捲きによる副産物なのかどうかはコアも巻線構成も違うトランスで比較してもまるで意味を成しませんが...(^^;

本機はオーバーオール無帰還ですが、このOPTならば深いオーバーオールNFBをかけても安定して優れた性能が期待出来ます。

 


謝辞

これまでこのCSPPPに適合するOPTがよもや現れるとは思ってもみませんでしたが、ARITOさんのおかげで漸くその潜在性能を発揮出来ることになりました。単にインピーダンス整合だけでなく、バイファイラ捲きというCSPPの理想OPTですので自作アンプでこんな贅沢はありません。

通常バイファイラ捲きの場合、その対になる巻線同士の耐圧は100V程度しか保証されないそうですが、本機では約320Vがかかっています。
線材の被覆は1000Vの耐圧があるそうで、DC500Vで10分間の絶縁試験もパスしているとのことですのでとりあえず心配はしていません。
既に本機は2ヶ月以上エージングしており、順調に実績を重ねています。当然ながら何の問題も起きていません。

 RX-40-5(改) でもCSPPは立派に成立しますが、バイファイラ捲きOPTのおかげでマッキントッシュ回路の本質に迫ることが出来ました。

改めてバイファイラ捲きOPTを製作して戴いたARITOさんに感謝致します。m(_ _)m


■ 付録 

ARITOさんより戴いたOPTの資料


 CSPPP  Rev.5  Jan. 2011

前回の Rev.4 から2年、その後に製作・実験改良した 47CSPP6C19P_CSPPA3000(改)MQ80(改) はそれぞれ満足のいく音質に仕上がっており、本機の音質に弱冠の物足りなさを感じてしまうのは、ある意味進化を顕すものとして受け入れなければなりません。

6L6と云う球の音質的評価はは多くの場合 『そこそこ』であり、それ程高い評価は滅多にありませんので、65506336等の評価の高い球と較べてしまうのはちょっと可哀想でもありますが、このままでは存在意義が薄れてしまうので改良出来るポイントを考えてみました。

他のアンプと較べて性能的にちょっと劣るとすれば、高域カットオフが少々低いだけでさしたる問題は無いと思っていましたが、上に挙げた後発のアンプ達には全てループNFBが施されています。

過去私は無帰還アンプの音が好みでしたが、それはCSPP以前のアンプでの話で、近年CSPPばかりを弄ってきた経験ではループNFBをかけても違和感が無く、鮮度も保った傾向がCSPPには感じられます。(50%KNF効果を打ち消してしまった6C19P_CSPP rev.1や過剰なNFB量と思しきオリジナルの A3000・MQ80 では違和感が拭えませんでしたが...(^^;)

こうなるとやはり、本機にも適量のNFBを施して周波数特性の改善とダンピングファクターの向上を狙ってみることにしました。


回路図 Rev.5

ループNFBを追加する前に帰還管としてP-G帰還を担っていた ECC82 のプレートへの電源供給を+B1から直接供給するように変更して5極管と3極管による変則SRPPドライブとしました。
これにより出力段のドライブを楽にし、裸ゲインも上昇するのでNFBをかけてもゲインに余裕が出来ます。

カソフォロ段は以前と同様にブートストラップを掛けて出力段をドライブする為のバッファーとしての役割を果たしています。

初段の入力にはハイカットのフィルターを残したままですが、8.4dBのオーバーオール負帰還を施しても特に追加すべき位相補正の必要がありませんでした。これはOPTのF特が弱冠ナローに設定されていて、その減衰特性が非常に素直で元来NFBを前提に設計されているからこそ得られた結果です。


基礎体力 Rev.5

    Non-NFB  NFB (8.4dB)
 最大出力(歪率5%)  32W  32W
 ゲイン  31.0dB  22.6dB
 高域カットオフ (-3dB)  40KHz  110KHz
 ダンピングファクター  4.8(8Ω)  14.7(8Ω)
 残留ノイズ  0.4mV  0.3mV

最大出力は変わらず、裸ゲインが Rev.4 の25.8dBに対して31.0dBと5.2dB上昇。

NFBを施した後は高域カットオフ・ポイントが大きく改善し、ダンピングファクターはぐっと上昇し、歪率も改善しましたが、相変わらず100Hz、1KHz、10KHzのカーブがキレイに揃っているのが特徴的です。


雑感

たかだか8dB程度のNFBでこれだけの性能を実現してしまうのはさすがにCSPPの御利益に他なりません。

諸特性が改善しただけでなく、音質も拙作のCSPP群の中にあって最良?と言うレベルまで良くなりました。

やはり高域限界は高い方が良いようです。こうなると 6C19P CSPP の方もなんとかしよっかな...(^^;


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Last update 08-Jan-2010