KT-66超3極管接続差動PP by Omochi@NY さん Since March 2005
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■ from New York
年度末の3月31日、1通のeメールが届きました。
な、なんと拙作の 6L6超3極管接続差動PP を元にアンプを組んだとのこと(^^;)まさか拙作の中でも一番の無駄アンプ?をトレースする方が現れるとは思いもよらず驚き(@◇@)ましたが、内容を窺い知るにつれ美味しいところを押さえながらも実に賢くまとめ上げられたアンプに感心させられました。
作者はニューヨークに在住の Omochi さん(もちろん日本人)です。
本人曰く、「真空管アンプは全くの素人」だそうですが、かなりの腕前のビルダーであることが窺い知れます。
■ 構成
- 初段は拙作のEL34差動で起用した6BN11による差動(5結)で定電流回路はLM317です。
- 帰還管は 6SN7GTBで特性もルックスも申し分ありません。
- 出力段はKT66を超3極管接続での差動プッシュプル、定電流はオペアンプ制御によるTR。
- OPTはHammond製(1650KP)3.4KΩ/50Wの4Ω端子を使い、見かけ6.8KΩで使用とのこと。
- 電源はトランスがセンタータップ式両波整流の260Vで、正負の定電圧回路を用意され、正側は285V負側は−160Vを作り、負側をGNDに落として合計で445Vとし、出力段の定電流回路から160V(センタータップ)へ戻した嵩上げ電源で、定電流回路には約20V食わせているそうです。
★こんな感じの回路らしい増幅部の回路定数は拙作の例を殆どそのまま使ったそうですが、真空管の選択に始まり、定電流回路や電源の設定、初段のヒーターハム・キャンセルにはこれも拙作300B差動で実行しているAC注入方式を採用する等、ツボを押さえた模範的な構成で非常に感心しました。
もちろんDCバランスサーボも備えていますし、無駄がありません。
■ 基礎体力
Omochi さんから頂いたメールによりますと拙作のオリジナルを凌駕する性能が得られています。
出力 | 10W (クリップ開始) |
ゲイン | 21dB |
高域カットオフ | 97kHz(−3dB) |
THD | 0.064%(1kHz,0.01W)、0.45%(1W) |
THD+N | 0.10%(1kHz,0.01W)、0.72%(1W) |
残留ノイズ | 0.45mV |
ダンピングファクター | 11(1V−>1.1V) |
クロストーク | 10Hzから20kHzまで測定限界以下 |
KT66も6L6から派生した球ですので拙作の 6L6超3極管接続差動PP と似たような出力と特性になっています。
しかしながら、拙作では4.5程度だったダンピングファクターがOmochiさんの作品は特に11と大きく、ソブテック製KT66の素性がすこぶるよろしいようで、そのgmは拙作の6L6よりもかなり大きいらしいことが窺えます。(ちょっとヨダレが出ます(^^;)
■ あとがき
本人は謙遜されていましたが、前述したように拙作のアンプ群から使えるところと要らない部分をしっかりと選択したとても賢いつくりです。
6L6超3極管接続差動PP から無駄な部分を取り去り、ダイエットというかシェイプアップしたとも言えます。
素晴らしいので是非ともHPで紹介したい旨のメールを差し上げたところ、快諾して戴けました。次回作をお待ちしております(^^)/
Last update 19-Sep-2005