大電流型 MOS-FET 2SK1297

 CSPP Power Amplifier 

 

by N氏

since Jan. 2004

 

 

 


コレは番外編 です。 仲間のN氏が大電流型MOS−FET 2SK1297 で CSPP アンプを組んでくれました。

このアンプはユニットスタイルではなく、電源も含めてステレオアンプとしてケースに組んであります。
同じCSPPでのデバイス・バリエーションの一つとして面白いアンプです。

もちろんその気になれば簡単にユニットスタイルで製作可能です。


回路図 (2004/1/3)

2N3055ユニットVer.1の回路をUHC−MOSに置き換えた構成になっています。
2SK1297は初期の金田スタイルUHC−MOS DCパワーアンプに使われていたデバイスです。
出力段は最近の金田スタイルUHC−MOS DCパワーアンプからドライバー、温度補償、そして保護回路を移植してCSPPにアレンジしたものです。

私と違ってキチンと保護回路を備えているとこが偉い!


■ 電源(片チャンネル) 

  

電源は片チャンネル分ですが、V3は左右で共有しています。


基礎体力 (アイドリング電流 0.3A)

 最大出力  41W
 クローズド・ゲイン  25.2dB
 高域カットオフ(-3dB)  510KHz
 ダンピングファクター  9.64(8Ω)
 残留ノイズ  0.19mV

体力測定完了。


■ 音質傾向

これも金田デバイス、流石です。第一印象は、充分なハイクオリティサウンドです。
しかし、僅かではありますが、音量を上げていくとMOS−FET程ではないにしろ少し高域が堅めと感じます。


 ソースフォロワードライブへ変更 Ver.2  Oct. 2004

MOS−FET同士でダーリントン接続しても殆どメリットが無いのでドライブ段をソースフォロワーに変更しています。
こちらの方がドライブ能力が高くなり最大出力が取れます。


回路図 Ver.2


体力増強! (アイドリング電流 0.3A)

 最大出力 (8Ω)  58W 
 最大出力 (4Ω)  101W
 クローズド・ゲイン  26.2dB
 高域カットオフ(-3dB)  780KHz
 ダンピングファクター  7.78(8Ω)
 残留ノイズ  0.30mV

な、なんと4Ω負荷では100Wを越えました! もちろん fc も780KHzと延びています。

UHC-MOSらしく負荷は低い方が歪率も良くなります。
それにしてもシングルプッシュプル、高々32V程度の電源で良くもこんなに出るもんです。アッパレ(^^)/~~


 エミッターフォロワードライブへ変更 Ver.3  Jan. 2005

今度はMOS−FETのソースフォロワーを止めてバイポーラTR(2SD78)によるエミッターフォロワーに変更しています。


回路図 Ver.3


新基礎体力 (アイドリング電流 0.3A)

 最大出力 (8Ω)  59W  
 最大出力 (4Ω)  101W
 クローズド・ゲイン  26.1dB
 高域カットオフ(-3dB)  1.25MHz
  440KHz
 (位相補正有り)
 ダンピングファクター  9.72(8Ω)
 残留ノイズ  0.15mV

最大出力はほぼ一緒ですが、fcはグンと伸びて1.25MHzと Super SIT ユニットと同等になりました。
しかし、800KHz付近に盛り上がりが見られた為に位相補正を施して最終的に440KHzとなっています。


■ 音質傾向

ドライバーをバイポーラTRによるエミッターフォロワーに変更したおかげで、以前は少し高域が堅いと感じていたMOS-FET系のデバイスの特徴とも言える冷たさが無くなり躍動感が出て、とても聞きやすい音質に変貌しました。

製作者でありオーナーのN氏もこれまで常用機とするには少々疲れる音と評していましたが、今回の変更により常用機としても充分楽しめる音質になったと満足しています。

かの金田先生もMJ2004年12月号の大電流型MOS-FETパワーアンプではバイポーラTRのドライブに変えています。


Last update 13-Aug-2005