V-FET(SIT) 2SJ18 CSPP Power Amp Unit since Aug. 2003 |
第1弾 今では市場から姿を消したV-FET(SIT) を使ったユニット。このユニットスタイルCSPPアンプ構想の出発点です。
オリジナルは上條信一氏設計の2SJ18 CSPPです。詳細は本家をご参照下さい。
全くのコピー回路ですが、実際組んでみると部品の違い等により、変更した部分があります。
■ 回路図
2SC1815に手持ちのYランク(本家オリジナルではGR)を使ったせいで電源電圧変動によるアイドリングのドリフトキャンセル(PSDC)がうまく補正しきれませんでした。
これはC1815-Y のhfeが低い為にIcが充分流れず、定電流性を上げるため2KVRの抵抗値を上昇させるとエミッタ電位が上がりベース電流が足りなくなります。
上條さんからK30Aの10KVRに10Kをシリーズに追加するアドバイスを戴きましたが、10Kを挿入するとK30Aがカットオフしてしまいやはり調整できません。
オリジナル回路では9.1Kと2.2KでC1815にベースバイアスを供給していますが、2.2Kを4.02Kに変更してベース電位を上げたところK30Aの10KVRで充分制御できる様になりました。
何故4.02Kかと言うとたまたま手持ちにたくさんあったからです、普通なら3.9Kを選ぶところです。
ギリギリ2KVRを最大に回したあたりで調整できましたが、本来ならばC1815のエミッタ側にも1Kを直列に入れるべきところです。そうすれば2KVRの中点付近で調整できます。
ヒートシンクの裏側に青色高輝度LEDを取り付けて天板を間接的に照明してパイロットランプにしています。
■ 基礎体力 (アイドリング電流 0.25A)
最大出力 33W ゲイン 25.2dB 高域カットオフ(-3dB) 300KHz ダンピングファクター 8.33(8Ω) 残留ノイズ 0.15mV(Rch) 0.32mV(Lch) 残留ノイズが本家オリジナルよりも少し多めですが、マイナス側倍電圧のせいでは無いようです(位相を入れ換えても殆ど変化無し)。
恐らく測定器や電源品質等の測定環境による違いと思います。
RchとLchの差は半固定にλ13Tの巻線型を使ったせいです。
ダンピングファクターは本家オリジナルの18.6からすると半分以下になっています。
■ 問題点
本家オリジナルではアイドリングが0.3Aですが、手に入れた放熱器(ジャンクで480円)一つに2個のJ18を取り付けてしまいましたのでかなり熱くなりました。
熱くて手を触れられない程ではありませんが、ヤフオクで手に入れた熱電対プローブ付きテスターで温度を測ったところ、放熱器トップの温度が53℃に達し、J18の表面では60℃にもなっていました。
上條さんのページを参考に熱抵抗の計算をすると、J18のTjは120℃なので熱抵抗が最低1.39℃/W以下の放熱環境が必要なことが判りました。
現在の放熱器が約1.2℃/Wと見られるのでギリギリ一杯、とりあえずアイドリングを0.25Aに減らしました。
■ 音質傾向
音質評価は主観によりますので多くは語りませんが、とにかく長時間聞いていても疲れない音です。
脚色感の無い音質はなるほど真空管的にも聞こえます。 思わず頬がゆるんでしまうサウンドです。(上條さん、 t-iwaiさんに感謝!)
放熱対策 (2003/12/07) |
USプラグを11Pプラグに変更し、入出力端子は電源部に移したのでヒートシンクをダブルにサンドイッチ構造とし、放熱対策を施しました。
左は初期の8pinUSプラグを使っていたときのものでアンプユニット側に入出力がある。右は11pinプラグに変更後にヒートシンクを2つにした。
J18は前後ヒートシンクの下側で上側に付いているパワーTRはダミー、見た目にはどちらが表か裏か直ぐには区別が付きません。
アイドリング電流を 0.25A から 0.3A に増やし、本家と同じ条件になりました。
最大出力 33W ゲイン 25.7dB 高域カットオフ(-3dB) 220KHz ダンピングファクター 8.7(8Ω) 残留ノイズ 0.17mV(Rch) 0.15mV(Lch) アイドリングを増やしたのでゲインが0.5dB上昇してダンピングファクターが8.7と僅かに上昇しました。
本家オリジナルは18.6もあるのに較べアイドリング電流を増やしても以前と大差がありません。同じ回路で同じ動作をしているはずなのに何故でしょう?
本家の方形波応答写真からゲインを勘ぐって割り出すと約22倍(26.8dB)はあるように見えます。
一番の原因は、今回使ったJ18が本家オリジナルでは55ランクですが、拙作では57ランクとμが低いのと、もう一つは初段差動のソース間にある50Ωのトリマーが本家の製作バージョンでは20Ωに変更されているので、ここでゲインの違いが出ていると思われます。高域カットオフ (-3dB) ポイントは入力端子をケース側に移動したことによりシールド線の容量が加わり300KHzから220KHzへと下がってしまいました。
残留ノイズはたまたまトリマーの調整ポイントが良いところに入って左右ほぼ同じになりました。
Last update 26-Dec-2003